現代のビジネスでは、ビジネスとIT活用を結びつけることで、新たな価値を生み出していくことが主流となってきています。
そんな中、まだ日本では馴染みのない言葉ですが、アメリカで「MARTECH」という言葉が生まれ、注目を集めています。
今回は、この「MARTECH」とは一体どんなものなのかについてご説明していきたいと思います。
注目の造語、MARTECHとは
MARTECHとは、マーケティング(Marketing)と技術(Technology)を掛け合わせた造語のことです。企業がマーケティング活動にITを取り入れることで、より効果的なビジネスを展開できるようになります。
近年、マーケティングのあり方は根本的に変わりました。以前までは、マーケティングメッセージをただ一方的に顧客に発信するだけでよかったのですが、今はそれではいけません。
パーソナライズされた気の利いた顧客体験をテクノロジーを使って提供し、顧客と企業のOne-to-Oneのコミュニケーションが取れる関係が求められています。One-to-Oneマーケティングとは、一人一人の消費者のニーズや購入履歴に合わせて、個別に行うマーケティング活動のことです。
ですので、MARTECHはユーザーの行動データや自社が保有するデータを、販売促進や顧客との関係構築など、マーケティングで必要となる様々な分野へと展開するためにデータ取得や活用にITを活用しています。
つまり、MARTECHはデジタル社会にふさわしいマーケティングを可能にするテクノロジーなのです。
MARTECHが活用される6つの分野
下の画像のようにMARTECHに含まれる分野は、広く複雑に分かれています。この画像には、4891社が提供する5381のサービスが掲載されていますが、これらは大きく6つのカテゴリに分かれています。
・Advertising & Promotion
広告や広報に関連するITツールが展開されています。
Advertising Technology(Adtech)で馴染みのあるDSPや、最近市場を拡大しているSNS広告、動画広告などが含まれます。
・Content & Experience
顧客体験を向上させるためのコンテンツやキャンペーン管理に使用されるITツールが展開されています。CMSやマーケティングオートメーションなどが馴染み深いのではないでしょうか。
・Social & Relationships
ソーシャルツールの活用や顧客関係管理に使用されるITツールが展開されています。
ソーシャルツール活用の観点からは、Fecebook & Chatに含まれるChatbot、顧客関係管理ツールの観点からはCRMをよく耳にするのではないでしょうか。
・Commerce & Sales
取引や営業活動管理におけるITツールが展開されています。
ECサイトの構築やその後の運営をするためのツールや、リード情報から顧客情報、営業活動情報を管理するSFAなど馴染みのあるツールではないでしょうか。
・Data
データの収集・管理・分析・可視化に関するITツールが展開されています。DMPやBIツールなどがよく耳にするツールだと思います。
・Management
チーム管理やプロジェクト管理に関するITツールが展開されています。プロジェクトの進捗や各個人に割り振られたタスクの進捗を可視化するツールとして、Trelloなどは皆さんも馴染みのあるツールなのではないでしょうか。
これがMARTECHを構成する大枠となっています。これらの大枠と各ジャンルのビジネスを把握することは困難ではありますが、その大枠から各ビジネスの潮流を把握することは、MARTECHを理解する上で重要です。
MARTECHとマーケティングオートメーション
MARTECHを知らないという方でもマーケティングオートメーション(MA)という言葉を聞いたことある方は少なくないのではないでしょうか。マーケティングオートメーションは、MARTECHの一分野でもあるのですが、マーケティングとITの融合を一番イメージしやすい言葉なのではないでしょうか。
実際、日本国内でのMAツールの普及は目覚ましく、現在でも市場は成長を続けています。その背景には、企業内でもデータのあり方が変化していることがあります。今までのビジネス体系においては、売上に直結すると言われていた営業活動に重点が置かれていました。しかし現在では、情報収集や購買を行う場としてのインターネットの普及が著しく、IT活用の重要性が高まりました。
時代が変わってきている中で、Web上での情報収集やアプローチ手段にMAが使われるようになったことは自然な流れです。
まだ聞きなれない言葉かもしれませんが、マーケティングオートメーションと同じように今後必ず浸透していく言葉であると思います。
MARTECHの新たな活用事例
・JTBパブリッシング
旅行業界大手のJTB傘下で、出版事業やオンラインメディアを手がけるJTBパブリッシング。同社の「るるぶ&more.」の立ち上げ時に取り入れられました。
DMPのRtoaster(アールトースター)を活用することで、ユーザーの嗜好に合わせ、会員登録請求やコンテンツの高精度なレコメンドを実現しました。
つまり、MARTECHの活用によって嗜好の多様性を担保しつつ、ターゲットを絞りパーソナライズするというこの二つの両立が可能となったのです。
・価格コム
価格コムの運営している人気メディア、「食べログ」にも活用されています。
同社は、データを取得できても分析がしっかりできずに悩んでいました。例えば、サービスDBのCVデータとアクセス解析ツールの流入データの取得はできても、それらを付き合わせて誰でも分析できるツールがなかったということです。
そこで、TREASURE CDPを活用し、既存のデータ連携を促進しました。それによって誰でもデータ分析ができる基盤が構築できました。
・BizReach(ビズリーチ)
今人気の転職サービス「ビズリーチ」では、各種ツールを連携する際の工数を削減したいと考えていました。そこで、以前からトレジャーデータのテクノロジーパートナーである、マルケト(Marketo)のMAツールを活用し、会員に求人応募を促すメールを配信しています。今まで、複数ツールを使っていたものをTREASURE CDPに集約することで、複雑なセグメント配信にも対応できるようになりました。
MARTECHのまとめ
このように、「MARTECH」に含まれる分野は広く、それぞれの分野が関わってビジネスを形成しているため、今後この分野が注目されるということも納得できるのではないでしょうか。
また、〇〇Techという言葉が増えてきていることは、今後全ての領域においてテクノロジーとの融合が進み、それらを活用することはビジネスパーソンの必須条件となりつつあります。
皆さんもこれを機会に、MARTECHの活用を促進してみてはいかがでしょうか?