以前 Facebook 広告配信の最適化に欠かせない入札戦略について解説しました。「ペーシング」も同様に広告配信を最適化しコンバージョン数を最大限獲得するために欠かせない機能と言えます。また、入札のペーシングについて理解すると入札戦略を設定した時に実際どのようなメカニズムで入札が行われているか把握できます!
ペーシングとは、設定した入札戦略や予算の中で、できるだけ最適に広告配信するものです。ペーシングという言葉は「ペース配分」という意味です。ペーシングには、以下の2つの側面があります。
- 予算のペーシング
- 入札のペーシング(入札戦略による)
つまり、「予算のペース配分」と「入札のペース配分」があるのです。
この2つは相互に機能するものですが、分けて考えると理解しやすいのでそれぞれ解説します。
1. 予算のペーシング
予算のペーシングは期間内での広告出稿金額のペース配分を調整します。予算のペーシングを用いない場合、Facebook の広告配信システムはあなたの広告キャンペーンの開始からなるべく早いスピードで広告配信を試みようとします。
例えば、予算消化(縱)と時間経過(横)を表した以下のグラフでは、
- 赤は予算のペーシングを行わなかった場合の予算消化で、広告セットの期間終了よりかなり前に全予算を使い切り、広告配信をあっという間に終えています。
- 緑は予算のペーシングを適用した場合の予算消化で、広告セットの期間内に均等に予算を消化し、期間全体に渡って広告配信が行えています。
- オレンジは時間をかけすぎて広告セットの期間内に予算消化できなかったケースで、配信不足になってしまっていると言えます。
予算ペーシングの設定は2種類あります。
①「通常配信」
この配信方法だと期間内でなるべく均等に広告配信を行うようになります。(上のグラフでいう緑)言い換えれば、「予算のペーシングを行う」広告配信方法です。Facebook 広告配信のデフォルトはこの設定になっています。
②「スピード配信」
スピード配信をすると、Facebook の広告配信システムはできるだけ早く予算を消化しようとします。(上のグラフでいう赤)こちらも言い換えると、「予算のペーシングを行わない」広告配信方法です。スピード配信は入札戦略が「最小コスト+最大入札価格」の時のみ利用可能です。
予算が大きく、キャンペーンの時期が限定されているためスピード感のある広告配信を行いたい場合にはおすすめです。ただし、広告セットの配信期間よりも早く、時には1日も経たないうちに全ての予算を使い切ることがあるため注意が必要です。
2. 入札のペーシング
入札におけるペーシングとは、「通常配信」を設定している場合にオークションごとに入札価格を上げ下げして調整したり、入札するか見送るかを決定することです。入札戦略に応じて自動的に決定されます。
①「割引ペーシング」
最小コスト方式という入札戦略の一部です。
割引ペーシングでは、可能な場合は入札価格を下げてその範囲での最小単価の結果を落札できるようにします。これにより、広告セットの期間が終了するまでに予算のすべてを確実に消化するよう調整します。以下のチャートは最大入札価格が$10に設定されている場合どのように入札されるかを示しています。
チャートからも分かるように、単価が低いと見込まれるものがある場合は最大入札価格よりも低い価格で入札します。最大入札価格を設定していない場合にもできる限り低い価格で入札しますが、入札価格の上限を指定することはできません。
割引ペーシングが最小コスト方式にどのように役立つか簡単な例で説明したいと思います。広告セットの期間終了が近づいていて、予算の残りは$10、最大入札価格は$5だったとします。
- 広告枠の見込み単価が$5が最小
→ 入札価格を$5にして2の成果を得る - ターゲット層の Facebook 利用が増加、$1の見込み単価の広告枠などが出現!
→ 入札価格を$1に減らして10の成果が得られる!($5だと2の成果なのに対して)
つまり、入札への参加や入札価格の設定は状況を考慮して行われるということです。
②「確率的ペーシング」
ターゲット単価方式という入札戦略の一部です。
ターゲット単価の入札戦略においては単価の低さよりも安定性が重視されるため、確率的ペーシングでは、最適化イベントの見込み単価に基づいて選定したオークションにのみ広告セットを入札します。以下のチャートはターゲット単価が$10に設定されている場合どのように入札されるかを示しています。
まとめ
予算と入札方法の調整をする役割のある「ペーシング」ですが、知らずに使っていたということは多いのではないでしょうか?
一言で入札戦略と言ってもいろんなオプションがあり、どの選択肢を使うかはキャンペーンの目的によって変わってくると思います。
キャンペーンで得たい結果をしっかり定義した上で、ペーシングなどの役割を正しく理解し活用することで、今後の広告運用の最適化に活かせるのではないでしょうか。