コホート分析の方法と活用術〜GoogleアナリティクスとExcelでの使い方を紹介〜

コホート分析の方法と活用術

「コホート分析」という言葉をご存知でしょうか。アクセス解析ツールであるGoogleアナリティクスでのイメージが強い方が多いかもしれませんが、コホート分析は古くから用いられている分析手法のことです。今日はコホート分析についてご紹介したいと思います。

そもそもコホート分析とは?

コホートとは「仲間グループ」という意味です。

コホート分析とは、ユーザーの行動をグループ化し、指標ごとに数値化して分析するというものです。コホート分析では様々な指標を分析することができますが、特にユーザー継続率(獲得したユーザーがどれくらい定着したか)が重要です。サイトへの再訪率や商品の再購入率などといった割合の事です。

リピーターを獲得することはコンバージョン数、売上の拡大において非常に有効とされています。Googleアナリティクス上でも、特定の日からセッションを開始したユーザーなどを一つのグループとして、その後何割が再訪したのか、そしてその後何割がコンバージョンに至ったのかなどを分析します。ユーザー継続率は特に以下のような2つのサイトで重要です。

・ユーザーが継続的に訪問することでコンバージョンが伸びるタイプのサイト

・ユニークユーザー数が重要なサイト

一つは、ユーザーが継続的に訪問することでコンバージョンが伸びるタイプのサイトです。例えば、日用品などを扱う「ECサイト」が挙げられます。ユーザー継続率が高いということはそのサイトのコンテンツや商品に満足していると言え、再びコンバージョン(購入)してくれる可能性が高くなります。また、そのようなリピーターのSNSなどを通した口コミにより他のユーザーに評判が広がることもあります。新規顧客の開拓およびサイトの成長にもつながります。

もう一つは、ユニークユーザー数が重要なサイトです。Facebookなどの「SNS」や「メディアサイト」が挙げられます。こうしたサイトは、ユーザーがどのタイミングで離脱しているのか、ちゃんと使ってもらえてるのかを可視化することが、サービス改善の重要なポイントです。ユーザーの維持がメディアの存続と直結しているので、コホート分析はサイト運営には欠かせません。

Googleアナリティクスでのコホート分析のやり方

ここまで述べて来たように、ユーザーの維持のチェックはサイト運営に欠かせないものであり、ユーザー継続率をコホート分析でチェックすることは重要です。それではGoogleアナリティクスを使った具体的な手順をみていきましょう。

  1. Googleアナリティクスにログインし、「ユーザー」から「コホート分析」をクリックします。

    Googleアナリティクスを使ったコホート分析の使い方

  2. 4つの選択項目の中から知りたい情報を選択します。
    コホート分析には以下の4つの選択項目があり、それぞれ知りたい情報に合わせ選択すれば分析を行ってくれます。「コホート」を「グループ」と置き換えれば分かりやすくなるかと思います。

    ・コホートの種類
    ・コホートのサイズ
    ・指標
    ・期間

    コホート分析 項目
    引用:https://gaiq.jp/ga/us-cohort

    コホートの種類
    分析したいユーザーグループの単位です。ここでは、ユーザーの獲得日ベースでグルーピングしています。つまり、ユーザーを獲得した日付が選択可能です。

    コホートのサイズ
    「日別」週別」「月別」から選択が可能です。
    日毎の継続率を見たければ「日別」、週ごとならば「週別」を選択します。

    指標
    分析の対象にするものを設定します。ユーザーごとの指標やセッションやユーザー数などの合計、定着率などから選択します。

    ・ユーザー:ユーザーあたりのセッション、ユーザーあたりのセッション継続時間、ユーザーあたりのトランザクション、ユーザーあたりのページビュー、ユーザーあたりの収益、ユーザーあたりの目標の完了数

    ・合計:セッション、セッション時間、トランザクション数、ページビュー数、ユーザー数、収益、目標の完了数

    ・定着率:ユーザー継続率

    期間
    コホートのサイズに応じて、どれだけの期間のコホート分析をするのかを決めます。「日別」なら過去30日間、週別なら過去12週間、月別なら過去3ヶ月から選択します。

エクセルでのコホート分析のやり方

エクセルでのコホート分析は、ピボットテーブルを使います。
ピボットテーブルを使い、ユーザーのデータをグルーピングして行います。
もちろん、そのデータは事前に作っておく必要があります。

例えば、「ブログのユーザーの減少数」をコホート分析したい場合は、ユーザーの獲得日と減少した日のエクセルデータを用意し、ピボットテーブルを組むことでコホート分析をすることができます。
ピボットテーブルの使い方については、こちらの記事をご覧ください。

ピボットテーブル(Pivot Table)とは?Googleスプレッドシートでの使い方とは

2019.02.06

コホート分析の活用法

マーケティング施策への活用

  • ユーザーが減少するタイミングを知る
    ユーザー獲得した日から数値が減少するタイミングを知り、リマーケティングやメールキャンペーンなど対策を行うことでユーザーの減少を防ぐことができます。コホート分析で、ユーザー獲得日から何日後に減少しているかを確認、つまりユーザーの減少のタイミングを把握しましょう。例えばあるブログサイトで、ユーザー獲得日から2日後にユーザーが減少することが分かったとします。その場合、このタイミングで新たな記事を投稿したり、投稿頻度を多くしたりすることで、ユーザーを維持することができるでしょう。

  • 新たに獲得すべき新規ユーザー数を決める
    例えばあるサイトでユーザーが1週間後には必ず4パーセント減少していることが分かったとします。すると、この減少する4%分を埋めあわせるためにどれだけ新たにユーザーを獲得すべきかを決定することができます。

  • キャンペーンの反応を分析する
    キャンペーンを実施した期間のユーザーあたりの収益とユーザーあたりのトランザクションなどの指標を分析することにより、キャンペーンの最適化に活かすことができます。

SEO対策への活用

ユーザーを獲得した日から数値が減少するタイミングを探り、ユーザー数が減少するタイミングで公開する記事数を増やすなどといったSEO対策がとれます。

  • ユーザー数の減少
    ユーザーを獲得した日からユーザー数が減少するタイミングを探し、そのタイミングで投稿する記事数を増やします。そうすることで、新規ユーザーの獲得や既存ユーザーの減少を止められる可能性があります。

  • セッション時間の減少
    セッション時間とは、ユーザーがサイト滞在に滞在する時間のことです。
    コホート分析で、セッション時間が減少するタイミングを探し、そのタイミングで文字量の多い記事を投稿します。そうすることで、そのサイトのセッション時間は減少するどころかむしろ増加する可能性もあります。

  • ページビュー数の減少
    コホート分析で、ページビュー数が減少するタイミングを探し、そのタイミングで内部リンクの多い記事を投稿します。内部リンクによって他の記事への導線を意識的に作り出すことで、SEO対策に活用することができます。

コホート分析のまとめ

サイトへのアクセスやユーザーを増やし続けるには、ユーザーを維持し、リピーターを生み続けることが肝要です。

コホート分析で、獲得したユーザーが減少するタイミングやその割合を知り、それらの分析データを活用してマーケティング施策を改善していきましょう。

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