近年、デジタル音声広告(オーディオアド)と呼ばれる広告が注目を集めています。日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、海外ではアメリカを中心として市場が大きく伸びてきています。
そこで今回は、デジタル音声広告の持つ特徴と注目されている背景についてご紹介します。
【目次】
デジタル音声広告(オーディオアド)とは?
デジタル音声広告とは、Spotify(スポティファイ)などの音楽配信サービスで流れる音声のみの広告のことです。
上のグラフは、アメリカの音声コンテンツサービス「Podcast(ポッドキャスト)」におけるデジタル音声広告の推移です。日本ではあまり馴染み無いかもしれませんが市場規模は年々拡大しており、2020年度には915億円を突破すると予測されています。
デジタル音声広告が注目されている背景
デジタル音声広告が注目されるようになった理由を端的に言うと、デジタル音声サービスの利用者が増加したからです。
従来の音声広告といえば、ラジオ番組の合間に流れるラジオ広告が主流でしたが、市場規模は小さなものでした。
しかし、デジタル技術の発展により多くの音楽配信サービスやアプリが登場し、スマホで音楽やラジオなどの音声メディアを利用するユーザーが増えたことで、新たな広告市場として注目を集めるようになりました。
日本では電通や博報堂などの大手広告代理店が各企業と連携し、新たな音声広告配信サービスの開発に力を入れています。
デジタル音声広告の特徴
- ユーザー受けが良い
広告配信において、いかに不快感や胡散臭さを消すかということはとても重要です。
2019年にAdobeが行った、18歳以上のアメリカ人1000人を対象にした音声広告の調査によると、25%の人はスマートスピーカーで音声広告を聞いたことがあると答え、その多くが「問題ない」と回答しました。また、対象者のおよそ40%が、「音声広告はテレビやSNS、オンラインの広告よりも押しつけがましくない」と答え、39%は「音声広告は他のチャネルよりも興味を引く」と回答しています。
このアンケート結果より、視覚に訴えかける広告よりも聴覚に訴えかける音声広告のほうがユーザーの反応が良いことがわかります。 - ターゲティング効果が高い
「検索ワード」「ユーザー属性」「位置情報」などのデータ分析によって、ラジオの音声広告よりもさらに的確なユーザーに広告を届けることが可能になりました。また好きな歌手や歌のジャンルといった音声メディアならでは検索ワードを利用することで、これまでにない角度から新たな顧客層にリーチすることも可能となりました。
- ながら聞きが可能
音声広告が従来の広告と違う点は「聴く」広告である点です。
動画広告などの場合は聴くだけでなく見るという動作も必要になります。しかし、聴覚に働くこのようなコンテンツは「朝の通勤電車」「運転しながら」「走りながら」など「習慣的に行われる行為」を行いながら楽しむことができるのです。つまり、先ほど述べたユーザーの反応の良さは、広告によって何かを妨げることが少ないからこそとも言えます。 - アドフラウドが少ない
アドフラウドとは、近年のネット広告の問題として取り上げられることの多い、無効なインプレッションやクリックによって成果件数を水増しする不正行為です。
通常の広告と違い、デジタル音声広告はスキップすることができません。そのため、配信した広告を確実にユーザーへ届けられ、無駄な広告配信が行われるリスクを減らすことができます。
デジタル音声広告の主な広告配信先
デジタル音声広告を出稿可能な主な広告配信先を3つ紹介します。
Spotify(スポティファイ)
Spotifyは、2006年に配信開始した音楽ストリーミングサービスです。現在では、ユーザー数世界最大のサービスとなっています。2020年2月には有料ユーザー数が1億2400万人に到達しました。PC・スマホ・タブレットに対応しています。
radiko(ラジコ)
radikoは、2010年4月に配信開始したラジオ視聴アプリです。2019年1月の月間ユニークユーザー700万人、デイリーユニークユーザーは120万人を超えています。アプリダウンロード数は2000万を超えており、93の民間放送と放送大学、NHKが参加しています。
Voicy(ボイシー)
Voicyは、2016年に配信を開始した、パーソナリティによるフリートークやニュースを楽しむ日本初のボイスメディアです。2018年には利用者が30倍に増加し、今最も勢いのある音声アプリの一つといえます。
デジタル音声広告の今後
スマホやパソコン以外にも、オーディオブックやスマートスピーカーなどのスマートデバイスの普及が進んでおり、今後は利用シーンが増えるのではないかと予測されています。
加えて、現状の課題である「音声広告媒体の広告枠の少なさ」や「認知率の低さ」が解消されれば、日本でもさらに普及するでしょう。
2025年には市場規模は420億円を突破すると予測されており、ますます注目が集まる広告媒体であると言えます。
デジタル音声広告のまとめ
いかがだったでしょうか。
デジタル音声市場は2023年には全世界で利用者が15億人まで増えると予想されています。
従来の広告とは違う新しいフォーマットが生まれることにより、新しい表現方法も求められていくでしょう。いち早く試してみてはいかがでしょうか?