運用型広告のレポートは、広告運用の成果を可視化し、分析や改善施策を検討するうえで欠かせないデータです。さまざまなデータをまとめなければいけないため、作成に時間を取られてしまっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、分かりやすい広告レポートを作成する方法を紹介します。作成例やよくある失敗もお伝えします。
レポート作成作業の負担軽減につながる、おすすめの広告レポート自動化ツールや、導入事例も紹介していますので、ご一読ください。
おすすめの広告レポート自動化ツールを先に知りたい方は、「おすすめの広告レポート自動化ツール」からご覧ください。
▼ダッシュボードで簡単にすぐ進捗を見られる▼
【目次】
広告レポートの役割
分かりやすい広告レポートを作成するには、まずは「どのような目的で作成するのか」「広告レポートにどのような役割があるのか」を理解しておきましょう。
広告レポートの役割としては、以下の3つがあげられます。
- 広告の成果を可視化するため
- 課題を発見し、改善施策を考えるため
- 運用に関するノウハウを蓄積するため
それでは、ひとつずつ解説します。
広告の成果を可視化するため
広告代理店であれば広告主、自社で運用しているのであれば上司や経営陣など、広告運用の成果を報告するために、広告レポートを作成することが多いのではないでしょうか。
レポートを受け取る相手は、運用状況を常に確認している訳ではないので、レポートだけで状況を正しく理解してもらう必要があります。
どのくらい効果が出ているのか、どのような課題があるのかを相手に伝えるには、表やグラフ、数値でデータを可視化するのが効果的です。
課題を発見し、改善施策を考えるため
運用結果をさまざまな切り口でまとめ、成果を客観的に判断し、それらのデータを使ってPDCAを回しながら改善を行います。
リスティング広告であれば検索キーワード、ディスプレイ広告であれば広告クリエイティブなど、広告によってそれぞれ見るべき指標も変わってきます。
CTR(クリック率)やCPC(クリック単価)、CPA(顧客獲得単価)などデータの推移を確認し、課題を発見することが大切です。
レポートで効果や課題を共有することで、目標指標や運用方針など共通認識を持つことができます。
運用に関するノウハウを蓄積するため
広告の費用対効果を高めるには、予算を適切に分配し、データを見ながらチューニングしていくことが欠かせません。
施策によってどのような成果が得られたのかをデータでまとめておけば、運用に関するノウハウが蓄積し、再現性を高めることができるでしょう。
また、データで記録に残しておくことで、広告運用の属人化の防止にもつながります。
広告レポートの基本構成
それでは、実際にどのように広告レポートを作成すればよいのか、ここではお伝えします。
広告レポートは、大別すると以下の3つの要素で構成されています。
- 運用データのまとめ
- 考察・分析
- 改善提案
それぞれの要素を詳しく解説していきます。
運用データのまとめ
「運用データのまとめ」では、運用結果や推移など、どのような成果が得られたのかを数値や表・グラフでまとめます。
まずは、以下のように全体のデータをまとめてから、広告別やキーワード別、性別・年齢別などの指標ごとにレポートを作成しましょう。
▼サマリー・全体レポートの例
▼性別・年齢別レポート
考察や分析で掘り下げたい指標に関しては、数値だけではなくグラフや表を作成しておくと親切です。
指標ごとのレポートについては、後術する「広告レポートの作成例」で解説しているのでご覧ください。
考察・分析
次に、運用結果をもとにデータを考察・分析し、文章でまとめます。
前回のレポートと比較して、変化があった数値を中心に触れます。どのような要因で変動したのかを伝えることが重要です。
例えば、以下のようにまとめましょう。
▼考察・分析の例 SNS広告に関しては、CV数が前回から〇件増加しており、特にキャンペーンAの成果が向上しています。クリック率も〇%上昇していることから、先月クリエイティブを変更したことでターゲット層へのアプローチが成功していると考えられます。 リスティング広告に関しては、先月と比較してキーワードAのCTRが〇%低下しています。成果が出ているキーワードBに比べて、抽象的な文言となっているため、ターゲットへの訴求がうまくいっていない可能性が考えられます。キーワードBを参考に、〇〇系のキーワードへの変更を考えております。 |
KPIに対して、どのように数値が推移しているのかを伝えます。思ったような効果が得られず、対策したことがあればここで伝えておくと良いでしょう。
改善提案
最後に、運用の成果や考察・分析したことから、今後どのような改善施策を行うのかを提案します。
KPIの達成に向けて、どのような施策を行うのかを具体的に述べましょう。
▼改善提案の例 先月と比較してCTRが低下したキャンペーンの改善を行います。 まずは予算の分配を見直し、ターゲットにより訴求できるFacebook広告の予算を〇%増加を予定しております。 競合の動向を確認し、ターゲットに適した〇〇商品をアピールした広告文やクリエイティブに変更します。改善による変化については、次回のレポートで報告いたします。 |
データから浮かび上がってきた課題の解決に向けて、必要な施策を考え、今後どのようなアクションを取るのかが分かるように意識します。
納得感のある改善施策を提案できれば、相手の信頼を得ることができるでしょう。
広告レポートの作成例
先ほど紹介した「運用データのまとめ」を作成するときに、各指標でどのようなまとめ方ができるのか、指標ごとのレポート作成例をご紹介します。
- サマリー・全体レポート
- キャンペーン別レポート
- 日別・月別・週別レポート
- 性別・年齢別レポート
- 検索キーワード別レポート
- クリエイティブ別レポート
テンプレートを作る際にご参考にしてください。
サマリー・全体レポート
運用している広告アカウントのデータをまとめたものがサマリーレポートです。媒体ごとの推移を一目で把握することができます。
▼サマリー・全体レポート
キャンペーン別レポート
各媒体で実施している広告キャンペーン単位でデータをまとめることで、成果を可視化します。さらに詳細なデータを確認する場合は、キャンペーン配下の広告グループ単位でレポートを作成すると良いでしょう。
前回と比較して変化している広告グループがあれば、さらに広告グループ配下の広告単位のデータを抽出して、分析します。
▼広告キャンペーン別レポート
▼広告グループ別レポート
前回と比較して変化している広告グループがあれば、さらに広告グループ配下の広告単位のデータを抽出して、分析します。
▼広告別レポート
日別・月別・週別レポート
ユーザー行動によるデータの変化を把握したい場合は、日・月・週単位別や、時間帯別のレポートを作成して、考察・分析しましょう。
▼日別・月別・週別レポート
▼時間帯別レポート
性別・年齢別レポート
ターゲットに対して成果が出ているかを確認する際は、性別や年齢別などでまとめられたレポートを作成します。
▼性別・年齢別レポート
地域でターゲットを絞っている場合は、都道府県別にまとめたレポートを作成しておくのがおすすめです。
▼都道府県別レポート
またどの媒体からユーザーが流入し、アクションを起こしたのかを把握したいときは、パソコン、モバイル(iOS、Android)、タブレット、テレビ画面などデバイス別にデータをまとめたレポートを作成すると良いでしょう。
▼デバイス別レポート
検索キーワード別レポート
リスティング広告を運用しているときは、キーワード別や、ユーザーが実際に検索した語句(クエリ)別のレポートを作成しましょう。
▼検索キーワード別レポート
▼検索クエリ別レポート
クリエイティブ別レポート
ディスプレイ広告などで使用しているクリエイティブの効果検証をする際は、サムネイルやバナーの画像・動画、見出しテキスト、説明テキスト、ボタンなどをまとめたレポートを作成します。レポートを作成するときは、以下のようにクリエイティブを載せておくと親切です。
▼クリエイティブ別レポート
分かりにくいのはどうして?広告レポート作成のよくある失敗
分かりやすい広告レポートを作成する際に、気をつけておきたいのが以下の3点です。
- データを全体から詳細に分析できていない
- 過去のデータと比較していない
- 図や表で可視化できていない
相手に伝わるレポートを作成するには、データ全体を俯瞰で見て考察・分析し、図や表で可視化しましょう。
データを全体から詳細に分析できていない
データを見るときは、まずデータの全体を見て、上の階層から下の階層に掘り下げるように分析していきましょう。
例えば、前月に比べてGDN(Googleディスプレイネットワーク)のインプレッション数が増加したものの、キャンペーンBのCTRが低下している場合は、広告グループやキーワード・広告といったデータを見て、原因を見つける必要があります。
全体の数値を見て、細部のデータを深掘りしていくことで、論理的な分析ができるわけです。
また、データをまとめる際に、粒度の細かいデータラベルを作成して、活用することが有効です。
リスティング広告であれば、この画像のように「〇〇というキーワードを含む・それ以外」というように自分で集計軸をつくると分析しやすくなります。
引用:https://service.plan-b.co.jp/blog/ad/19790/
全体のデータを俯瞰したうえで、詳細なデータを確認するように意識してレポートを作成しましょう。
過去のデータと比較していない
媒体やキャンペーン間、前月・前年などのデータと比較することで、成果が出ているのか客観的な判断ができるようになります。
どのようなデータを抽出して比較するのかによって、分析・考察で導き出す内容も変わってきます。比較軸を明確にし、根拠となるデータを提示して相手に意図が正しく伝わるように、レポートを作成することが重要です。
表やグラフで可視化できていない
数値を並べただけでは、どのような変化があって、成果が出ているのかをすぐに判断できないものです。表やグラフで数値の推移を可視化すれば、一目で成果が把握できるようになります。
グラフや表にすることで、いつ成果が上がったのか、下がってしまったのかが相手にも伝わりやすくなります。
KPIに関わる指標は、グラフや表で可視化すると考察・分析時にも役立つでしょう。
また、グラフや表、図を作成するときは、ブランドカラーやコーポレートカラーを中心に使い、色数を抑えると統一感が出ます。
レポート作成を効率化するならツールを活用するのもひとつ
広告レポートはフォーマットが決まっていれば、自動化することができます。
自動化する方法としては「Excel」「Looker Studio」「自動化ツール」があります。
Excelは、手軽に導入しやすいメリットがありますが、マクロなどの専門知識が必要となります。
Looker Studioは、Googleが提供しているサービスのため、Google広告のレポート作成に適しています。しかし、その他の広告データを取り込むことが難しいため、広告データを一括管理してレポートを作成するには不向きと言えるでしょう。
さまざまな広告運用データをまとめてレポート作成する場合は、自動化ツールを活用するのがおすすめです。
広告レポート自動化ツールを活用するメリットとしては、効率的に仕事ができるようになることがあげられます。広告運用は基本的に継続的に行うため、平日の深夜や土日に仕事をする時間が減り、残業時間の短縮につながるでしょう。
また、ミスを防いだり、業務の標準化、レポート内容のクオリティアップ、生産性があがることによる売上アップなどが見込めます。
例えば、広告特化のダッシュボード&広告レポート作成を自動化する「Roboma」では、Google、Yahoo!、Instagram、Facebook といった広告媒体からデータを自動収集、一元管理、グラフで可視化したり、広告配信レポートを自動作成することが可能です。
さらに1クリックで広告アカウントと連携できるため、リアルタイムに状況を把握できるといった特徴があります。
▼ダッシュボードで簡単にすぐ進捗を見られる▼
おすすめの広告レポート自動化ツール
おすすめの広告レポート自動化ツールを8つご紹介します。
料金と特徴を表にまとめたので、ツールを検討する際にお役立てください。
ツール名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
ROBOMA (ロボマ ) | 30,000 円/月~ | ・広告データの一元管理、自動レポート作成、直感的なグラフを用いた分析が可能 ・ETL やDataOpsとしても活用できる |
ATOM (アトム) | 50,000 円/月~ | ・定型レポート機能とカスタマイズ可能なレポート作成機能がある ・157 種類のレポートフォーマット搭載 |
アドレポ | 30,000 円/月~ | ・20社以上の媒体と接続可能 ・APIでデータを自動集計し、蓄積・成形・考察してExcelなどに自動出力できる |
Databeat Explore | 33,000 円/月~ | ・39社の広告媒体とGA4との自動連携できる ・無料レポートテンプレートでレポートの自動化が可能 |
glu (グルー) | 要問い合わせ | ・レポートフォーマットや集計方法のカスタマイズ性が高い ・専門コンサルタントがサポート |
Lisket (リスケット) | 20,000円/月~ | ・Excel形式でのレポートを自動生成できる ・広告の予算管理もできる |
Shirofune (シロフネ) | 月額広告費×5%(税抜)~/月 | ・利用実績件数13,000件以上 ・新規広告配信設定から予算管理、自動入札の最適化など機能が豊富 |
アドエビス (AD EBiS) | 要問い合わせ | ・コンバージョン経路の可視化ができる ・導入支援プログラムがある |
各ツールの機能や特徴などツールについての詳しい内容は、以下の記事でお伝えしています。
広告レポート自動化ツールの活用事例
ここでは、広告レポート自動化ツールのイメージを掴むためにも、実際に弊社が提供する「ROBOMA(ロボマ)」を使用し、工数削減や効率化につながった活用事例を紹介します。
事例1.月間の広告運用の業務工数を50%削減|株式会社ForwardBloom
マーケティング戦略の企画立案からWeb広告の運用代行やLP制作などを行っている株式会社ForwardBloomでは、案件数の増加により、スプレッドシートでの予算管理や、データの確認業務に工数がかかっていたため、「ROBOMA(ロボマ)」を導入いただきました。
複数の媒体レポートを一画面で横並びで見れるダッシュボードや、定型レポートフォーマットの利用で、月間の広告運用の業務工数を50%削減を実現しています。
詳しく内容については、以下の導入事例をご覧ください。
事例2.レポート作成業務がゼロになりユーザー理解の時間を創出|株式会社マネーフォワード
個人向け家計簿サービス「マネーフォワード ME」、法人向けバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」を提供する株式会社マネーフォワードでは、クリエイティブレポートの集計をはじめ、広告データの集計作業に時間を取られてしまう課題を抱えていました。
そこでクリエイティブレポートを簡単に作成できる「ROBOMA(ロボマ)」を導入いただいたところ、月に4時間〜5時間かけていたクリエイティブレポートの集計時間を削減することに成功しています。
詳しい内容については、以下の導入事例をご覧ください。
まとめ|ポイントをおさえて伝わりやすい広告レポートを作成しよう
広告レポートは、大別すると以下の3つの要素で構成されています。
- 運用データのまとめ
- 考察・分析
- 改善提案
広告レポートを作成する際は、次の改善に繋げられるように、様々な切り口で分析を行い、数字なども正確に記録するようにしましょう。
分かりやすい広告レポートを作成する際に、意識したいのが以下の3点です。
- データを全体から詳細に分析できていない
- 過去のデータと比較していない
- 図や表で可視化できていない
俯瞰で見て考察・分析し、図や表を用いてデータを可視化しましょう。
また、レポートのフォーマットを用意しておくと、効率的に作成できるようになります。
広告レポート自動化ツールでは、レポート作成を自動化できるので、業務効率化に繋がります。レポート作成に多くの時間を取られている場合は、活用してみてください。
▼ダッシュボードで簡単にすぐ進捗を見られる▼