YouTubeなどで動画を見るときに動画の最初や途中などに広告が流れるのを目にしたことがある方は多いと思います。最近では動画広告にも様々な種類がありますが、今回はその動画と同じ大きさで流れる動画広告「インストリーム広告」についてご紹介したいと思います。
【目次】
インストリーム広告とは
インストリーム広告とは、YouTubeなどの動画サイトで配信される従来のバナー広告よりも大画面で表示できる動画プレーヤー上に表示されるタイプの広告のことです。
動画広告を大きく二つに分けた時、「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」に分けることが出来ます。アウトストリーム広告はさらに「インバナー広告(サイト右上など、従来のバナー広告枠に表示される動画広告)」、「インフィード広告(動画に限りませんが、メインコンテンツの間に挟まれて表示される広告)」などに分けられます。動画本編の前後や途中にさし込まれるのがインストリーム広告、Web上の広告枠にあるのがアウトストリーム広告です。
インストリーム広告は、動画本編の前にさしこまれるものが主流でしたが動画の途中や最後に流れるものも増えて来ました。冒頭に流れるものは「プレ(プリ)ロール」、再生中のものは「ミッドロール」、終了後に流れるものは「ポストロール」と呼ばれ、分類されています。
また、動画広告表示後、数秒後にユーザーが視聴選択できる「スキッパブル広告」と、強制的に視聴させる「ノンスキッパブル広告」があり、ノンスキッパブルではTVCMと同じ長さ(15秒)のものがほとんどですが、スキッパブルでは1分30秒~数分の動画広告も増えており、動画広告のブランディング活用が進んでいることを感じさせます。
インストリーム広告では、「映像」「音声」「文字」を使い、さらに「大画面」で、商品やサービスの魅力を効果的にユーザーに伝えることができます。CPV課金(広告視聴単価課金)方式が多く、例えば、YouTubeのTrueView動画広告は完全視聴単価方式が採用されており、広告がスキップされたり、途中でブラウザを閉じたりして、広告の視聴が中断された場合(もしくは30秒未満の再生の場合)は課金されません。
広告が最後まで再生された場合(もしくは30秒以上再生された場合)のみ課金されるので、広告投資のリスクが抑えられます。従来のリスティング広告やディスプレイ広告では、CPC(クリックあたりコスト)やCPM(1,000回インプレッションあたりコスト)が使用されていましたが、動画広告の場合は、“視聴”させることが重要なので、この課金形態の場合もあります。
また、動画を作成する上で重要なのは最初の5秒間で次のようなことを意識することです。
・広告色を無くす
・驚きの要素を含める
・自分ごとに思わせる
これにより5秒を過ぎてもスキップされにくく、最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。
具体例
インストリーム広告の実例として、YouTubeとTwitterを見てみましょう。
YouTube(ユーチューブ)
YouTubeの広告配信枠には大きく分けて「TrueView動画広告」と「バンパー広告」と「アウトストリーム広告」の3種類ありますが、主流となるのはTrueView動画広告です。YouTubeのインストリーム広告はTrueView広告のうちの一つです。
YouTubeのインストリーム広告には下記のような種類があります。
・スキップ可能な動画広告(スキッパブル)
・スキップ不可の動画広告(完全視聴型)
・オーバーレイ広告
スキップ可能な動画広告(スキッパブル)
動画か再生される前に一定時間流れるTVCMのような動画広告です。時間制限がなく、5秒後にスキップすることが可能です。
この広告は、リンクがクリックされる・動画が30秒再生される、のどちらかが発生した場合に課金されます。
スキップ不可の動画広告(完全視聴型)
こちらも動画か再生される前に流れる動画広告ですが、スキップすることが出来ないタイプになります。
あまり表示頻度は高くないですが、広告に興味のないユーザーにはストレスになってしまう可能性もあります。ただし、メリットとしては動画を最後まで見せることが出来ます。
オーバーレイ広告
動画再生中に突然、画面下側に表示されるバナー広告がオーバーレイ広告になります。
動画が10秒再生された後、表示されるような仕様になっています。
バナー右上の小さい×印を押すことで、広告を消すことが出来ます。
Googleは2016年5月にYouTube広告のもう1つの新たな主要フォーマット「バンパー広告」を開始しました。バンパー広告はスキップ出来ない6秒間の動画広告です。バンパー広告は6秒間で自動的に終了する為、長い時間を待つ必要はなく、スキップボタンを押す必要もありません。これまで問題視されてきたユーザーへの不快感を軽減することが出来、企業イメージを傷つける心配も少ないといえます。
Twitter(ツイッター)
Twitterのプレミアムコンテンツパートナーから集まったブランドセーフな動画の冒頭に、プレロール広告の配信を開始しました。ニュースやスポーツ、エンターテインメントなど親和性の高いカテゴリーのコンテンツ動画とともに動画広告を配信することで、より高いブランドインパクトを実現します。
米国ニールセンブランドエフェクト調査の調査結果によるとインストリーム動画を見た人は見ていない人に比べ、広告想起が70%、ブランド認知が28%、そして購買意向が6%高いことが分かっています。Twitter広告はターゲット選定や課金形態に特徴があるSNS広告です。また現在起きていることをリアルタイムに反映してユーザーとコミュニケーションを上手くとることで、認知度向上やブランド力アップが可能でしょう。
企業による活用例
リクルートジョブズによるYouTubeインストリーム広告活用
株式会社リクルートジョブズは「タウンワーク」「フロム・エー」などの求人媒体を運営し、人材採用に関する総合サービスを展開しています。同社は『タウンワーク』を訴求する TrueView 広告を配信しました。結果として、TrueView 広告を閲覧したユーザーは、閲覧していないユーザーに比べて、キーワード「バイト」「アルバイト」で配信した検索連動型広告のクリック率が32.5%上昇しました。TrueView 広告がタウンワークの興味喚起・利用意向の向上に貢献しただけではなく、実際にタウンワークのサイト利用に貢献しました。
Coca-Cola EspañaによるTwitterインストリーム広告活用
コカコーラ社にとってクリスマスはブランドバリューを顧客に伝えるためのイベントとして毎年重視されています。Coca-Cola España(@CocaCola_es)は、世界的に見ても人と人の距離が近く親密度が高いとされるスペインの国民性を踏まえて#EstamosMásCerca(もっと触れあおう)キャンペーンを展開しました。ハッシュタグを入れたプロモーションツイートとインストリーム広告の併用により、インストリーム動画広告再生数は3万回、広告動画再生率53%、動画再生時間合計6500時間と大きな効果をもたらしました。
まとめ
コンテンツとして魅力的な動画広告のような、ユーザーの気を引くような内容のインストリーム広告は大きな拡散力を持ちます。それと同時にユーザーからの反感の声によって現在のようなスキップ機能がついたというほど、動画広告は内容やターゲットを吟味しないとユーザーにストレスを与えうるものです。
YouTubeのTrueView広告などのようにターゲティングを高い精度で行えば、ターゲットユーザーに受け入れてもらいやすく、広告色を無くすことや驚きの要素を含める、自分ごとに思わせるといった工夫をすると大きな効果を得ることができるのではないでしょうか。