プレスリリースとは、報道機関・マスコミといった媒体社向けに告知する広報的手法です。
テレビや新聞で紹介されると、広告費に換算して、何千万円、時には億単位の効果があるといわれます。ファクス代・切手代程度でそうした効果を得られる可能性がありますが、取り上げられる確率はかなり低いものです。
「どうせ作っても掲載されないし‥。」という方のために、今日は掲載される確率を大幅にアップさせる魅力的なプレスリリースの作り方をご紹介します。
【目次】
プレスリリースとは
報道機関・マスコミといった媒体社向けに告知する広報的手法のことで、報道機関(プレス)への情報提供(リリース)から来ています。
本記事ではインターネット媒体に限定します。一般的には新商品リリースなど新しいことをはじめたことを媒体に伝えるために使用し、ニュースサイト、情報サイトといった媒体への掲載を目的とします。
媒体には記事として掲載されます。媒体に取り上げてもらえさえすれば、広告とは違い、無料で掲載が可能です。なおかつ、掲載は広告欄ではなく、記事になるので信頼度が高くなります。広告は見るのを飛ばす人もいるでしょう。取り上げられる確率は圧倒的に少ないですが、掲載されると効果が大きいのがプレスリリースです。
プレスリリースのメリット・デメリット
メリット
・大きな影響力
巨大サイトに掲載されれば通常にないようなアクセスが見込めます
・広告よりも高い信頼性
記事として取り上げてもらえることができれば、広告よりも信頼度が高い
・コストがほとんどかからない
人件費、郵送代、印刷代などしかコストがかかりません
デメリット
・記事内容をコントロールできない
マスコミ記者が取材して書いた記事の内容は、客観的な立場から記事にするため信用度が高い一方で内容をコントロールすることはできません。
・ なかなか記事にしてもらえない
新聞社やテレビ局には、毎日膨大なプレスリリースが届けられており、競争率が高くなっています。
プレスリリースを届ける方法
プレスリリースをマスメディア各社に届けるには、いろいろなやり方があります。
ファクス
いまだに新聞社やテレビ局などの伝統メディアでは、現場で使われています。
一方で、ウェブメディアなど新興メディアではファクスはほとんど使われていません。彼らはメールを好みます。
郵送
郵送は古くからあったプレスリリースの提供手段です。新聞社やテレビ局、雑誌社へは最も無難なプレスリリースの送り方と言えます。
ただ、ウェブメディアを中心に、郵送も好まないところも一部にはあります。
電子メール
いま最も主流になりつつあるのが、メールによるプレスリリースの送付です。送る側にとって手軽な分、受け取るメディアにとってもゴミ箱に捨てるのが楽、というメリットがあるのです。郵便と違ってかさばらない、だからメールでのプレスリリース送付を推奨するメディアもあるようです。
記者クラブへの投げ込み
全国各地の県庁や市役所にある「記者クラブ」に印刷したプレスリリースを持ち込む方法があります。業界用語で「投げ込み」と言います。
報道機関への直接持参
新聞社やテレビ局に直接、訪問し、記者らにプレスリリースを手渡す方法もあります。
ただ、メディアの人は忙しく、ニュース価値の低い宣伝の売り込みには取り合ってくれないことが多いです。
プレスリリース配信サービス
ネット検索すると、「プレスリリース配信サービス」を提供する業者がいくつもあります。いわゆる代行業者です。ツールを使って機械的に多数のメディアにプレスリリースを送ってくれるため手間を省けます。ただ、その届け方はメールが大半。メディア側にもよそにも多数送られているプレスリリースと見抜かれ、ニュース価値を低く見られやすい可能性があります。
大半のテレビ局・新聞社は、ファクスや郵送を好みます。記事にするかしないかは、テレビ・新聞の記者が判断します。ほとんどのプレスリリースは、ただの宣伝とみなされ、記事にされることなく捨てられています。
プレスリリースの作成手順
それでは、具体的にどのように作成して行けばよいのでしょうか。
① タイトル
② 全体の構成
③ 画像/動画
④ URL
⑤ 専門家コメント
この5つのポイントに絞って、説明していきます。
① タイトル
・大事な情報を50~65文字で、端的に
記者はまずタイトルを見て、ニュース価値があるかどうか判断します。タイトルを見て興味がわかない限り、記者は本文まで読む進むことはまずありません。
タイトルの長さとしては、パッと見た瞬間に理解できるくらいの長さが望ましいです。大事な情報を50~65文字で、端的に盛り込むようにしましょう。
近年はリリースそのものがソーシャルメディアで投稿され、共有されるケースが多く見受けられますが、Twitterの場合、文字数上限は140文字ですので、タイトル+URLに、ユーザーのコメントを添えて拡散してもらうことも考えると、タイトルは50~65文字くらい
が良いでしょう。
・“Something New” を端的に示す
高いハードルかもしれませんが、最終的には「リリースのタイトル」=「記事のタイトル」になることを目指しましょう。
記者が記事タイトルを考える際、その記事のどこがニュースになるのか、“Something New”はどこなのかと熟考します。
記者は、読者が興味を持ってくれそうな情報を端的にタイトルで伝えようと努めています。広報担当者がリリースのタイトルを考えるときも同じです。ニュースとしてそのリリースが注目されそうなところ、“Something New”を明確に示すように心掛けましょう。
・自社名など、余計な情報をタイトルに入れない
“Something New”をより目立たせるため、余計な情報を省くことも大切です。情報を盛り込み過ぎると、大事な情報がかすんでしまう恐れもあります。
特にタイトルには自社名を入れないようにしましょう。既に知名度のあるブランドの新商品ならともかく、新ブランドの商品を発売するときなどは、極力タイトルには入れないのが良いでしょう。
また、タイトルでよくあるのが「!」や赤字を多用してしまっているケースです。宣伝チラシ感を強調してしまうのでやたらと使うのは避けましょう。
② 全体の構成
プレスリリースは2~3枚で。それ以上になるときは別途、参考資料を用意しましょう。Web系ニュースメディアに掲載される記事は、大きく3つに分類できます。
1.プレスリリースを元にして書かれた記事
2.取材等をして独自に書かれた記事
3.専門家や著名人によるコラム
メディアによって差はありますが、プレスリリースを元にして書かれた記事に比べ、取材等をして独自に書かれた記事や専門家・著名人によるコラムの方が優先順位が高くなる傾向にあります。リリースを元にした記事はできるだけ短時間で済ませたいと考えている人が大半です。
そのため、リリースの文章はできる限り記者が慣れ親しんでいる構成を心がけることが重要です。複数社のリリースを参考にして、わかりやすく記事化しやすい端的な構成にしましょう。リリースに盛り込む情報はオリジナリティに富んでいる必要がありますが、その構成は記者が記事にまとめやすい形式でなくてはなりません。
具体的には、サマリ → アピールポイント → 詳細情報 → 自社情報が基本的な構成です。
・サマリ
200~300文字程度で、5W1Hを意識し事実情報を伝える。
・アピールポイント
500文字前後で、サマリに盛り込めなかった情報を掲載する。
・詳細情報
商品の仕様やイベント詳細などを箇条書き形式で必要事項を網羅する。
・自社情報
自社の事業内容・URLなどを掲載する。
前述のような理由から、リリース原稿をだらだらと長く書いてしまうのは禁物です。
ただ、どう削っても必要な情報を残すと4枚以上になってしまう場合、写真やグラフ・表を多く載せたら枚数が増えてしまった場合などは、無理に2~3枚に収めなくても構いません。記事化してもらうときに必要になる情報は、必ず盛り込むようにしてください。
専門的な用語の解説や、新たに開発した機能についての詳細、関係者のコメントなど、どうしても盛り込みたい関連情報があるのなら、プレスリリースとは別に参考資料のファイルを作成して添えるのも手です。記者にだけ閲覧できるように制限を掛けることもできますので、状況に応じて参考資料も用意するとよいでしょう。
③ 画像/動画
どんなに文字で説明するよりも、画像を見せることでより多くの情報を伝えることができます。写真は一瞬でたくさんの情報を記者に伝えられるメリットがあリます。商品・サービスをより魅力的に伝えるため、写真やグラフ、サイトのキャプチャなどの画像を欠かさず手配するようにしましょう。
テキスト情報だけのリリースでは、読み続けるうちに疲れてしまいます。要所要所で画像を挿入して、スクロールしてもテキストだけの画面が生まれないようにページをつくり、記者の興味を湧かせながら最後まで読み込んでもらえるように工夫しましょう。
・理想は最低3点以上、できれば画像加工も
記事に使う画像を選ぶのは、記者です。同じ新製品発表のプレスリリースであっても、担当する記者によって注目するポイントは違います。製品全体を撮影した写真だけでなく、特徴的なデザインにフォーカスした写真、機能・価格面での優位性を伝えるグラフなど、できるだけ多様な画像を使用しましょう。
また、「画像加工の有無」による違いを調査によると、インフォグラフィックスなど視覚的に伝わりやすい画像は読者の注目を引く傾向にあります。点数を用意できない場合は、社内に適当な画像がないか探してみるか、リリース配信用に新しく撮影してみるなど、メインの画像をこだわって用意することでプレゼンスアップを狙うことができます。
・画像形式はJPGで
手配する画像は一般的なファイル形式であるJPGにして提供することを推奨しています。
・画像はなるべく大サイズに
近年、幅600~800pxほどの大きな画像を掲載するニュースメディアも増えてきました。メディアに画像が掲載されるとき、基本的にオリジナルサイズよりも拡大されることはありません。できるだけ目立つ大きさで画像を掲載してもらえるように、幅600~800px以上の画像を用意しましょう。
また、最近になって、広告・プロモーションを目的に制作した動画などをプレスリリースで配信する企業が目立ってきました。画像だけでなく動画をリリースに埋め込むことで、より多くの情報を分かりやすく伝えることができ、記事化してもらえる可能性は高まります。
・動画系ニュースサイトで記事化される対象に
海外では、YouTubeなど配信サイトにアップされた動画をニュースネタとして扱い、記事を公開する動画系ニュースサイトが台頭してきています。同様の動きは日本にもあり、いくつか新興の動画系ニュースサイトが勢いをつけています。リリース内に動 画を埋め込むことで、そうしたニュースサイトがチェックしてくれるようになり、記事で取り上げてもらえる可能性が上がります。動画があるのなら、リリースの中で積極的に紹介していくべきでしょう。
・一般ニュースサイトでも動画掲載で記事化率アップ
リリース内に動画が埋め込まれていたり動画再生できるURLが記載されていたりすると、「よく記事にする」(18.0%)、「たまに記事にする」(38.0%)というアンケート結果(記者200人)もあります。動画埋め込みによって動画系ニュースサイトでの露出が狙えるようになるだけでなく、一般のニュースサイトでも記事として取り上げられる可能性は高くなります。
・動画内の注目シーンは、キャプチャ画像も載せよう
リリースに動画を添える際には、動画内の注目シーン(ハイライト)をキャプチャして、画像としても掲載しておくのがベストです。
前述の調査でも、80%の記者が「動画のURLや埋め込みだけでなく、動画のハイライト画像があると望ましい」と答えています。ハイライト画像を掲載しておけば、記者が記事を書く際に動画再生の手間を省くことができるので、「面倒だから書きたくない」と敬遠されるリスクを軽減できるでしょう。
④ URL
記者はプレスリリースをチェックする際、リリース上の情報だけでなく、関連するWebサイトも見ながら執筆を進めるケースが多いです。また、記事末や文中に関連サイトへのURLを載せてくれることも多いので、誘導させたいサイトURLは、積極的に明示するようにしましょう。
・ URL掲載位置はプレスリリースの上部に
URLは、できるだけリリースの上部に記載しましょう。リリースを読みながらサイトの内容をチェックしたい記者や、リリース文にすべて目を通さず記事を書く記者も多いため、早いうちにURLを示しておいた方がいいでしょう。
・掲載URLの本数は、できるだけ1本に絞る
「関係するサイトのURLはなるべく多く記載しておきたい」と考える方もいるかもしれませんが、余計なURLを載せても記事で紹介されることは少ないので必要なものだけに絞りましょう。URL1本のみに絞ったほうがクリックが分散せず、結果的に多くの誘導が見込めます。
⑤ 専門家コメント
専門家の分析コメントを加えることで、信頼度をアップさせるのも有効です。新しい商品・サービスや事業提携の発表時など、プレスリリースを配信できる機会は限られています。自社をアピールする機会を能動的につくっていくため、時には自主的に調査を実施して、その結果をレポートにまとめリリースとして配信するのも、効果的な広報戦略の1つです。
自主調査をリリース配信する企業は増えてきましたが、多くの企業がまだ取り組めていないのが、3の専門家/有識者からコメントをもらって掲載することでしょう。「専門家/有識者のコメントが記載された調査リリースは、通常の調査リリースと比較して記事化しやすい」と67.0%が回答したという調査(記者200人)もあります。記事化しやすくなる理由として最も多く挙がったのは、「リリース内容や使用データの信憑性が高まるため」(62.0%)という点でした。
・自主調査の企画時に押さえておきたい3つのポイント
自主調査を記事として取り上げる価値があるかどうか、記者が評価する主なポイントとしては、次のようなものがあります。
1.調査の切り口/得られたデータに目新しさがある
2.統計的に有意な結果を基にして書かれている
3.信用できる専門家/有識者がコメントを寄せている
・専門家コメントは一定の認知度や実績のある人物へ
コメントを求める専門家/有識者として適当なのは、一定以上の認知度があり、専門家としての活動実績が十分である人物です。前述の調査によると、「テレビなどのマスメディアに多数出演しており、認知度が高い人」(31.0%)、「学術論文の執筆や学会での発表を多数行っている人」(26.0%)、「日本のみならず世界での認知度が高い/世界で活躍している人」(25.0%)との意見が出てきています。
・設問ごとにイラスト化したグラフ画像を
できればExcelそのままでなく、イラスト化したものを自主調査で紹介したデータを、リリース内の分析・コメントに沿ってそのまま紹介するだけのメディアもあれば、自分たち
のメディアに関係する設問だけ掘り下げて記事化するメディアもあります。
リリースで紹介する設問はどれが記事で使われることになるか分かりませんから、どの設問にも集計結果のグラフ画像を必ず添えるようにしましょう。せっかく記者が記事化したいと思ってくれた設問・回答結果があっても、グラフなどが添えられていないと、掲載を見送られてしまう恐れがあります。
また、掲載するグラフ画像は、Excelで出力したものをそのまま使用するよりデザイナーに依頼してイラスト化したものを使用する方が見栄えがよくなります。グラフが見やすいか、見栄えがするかも記事化に繋がります。
まとめ
プレスリリースは、テレビや新聞で紹介されると、広告費に換算して、何千万円、時には億単位の効果があるといわれます。ファクス代・切手代程度で、そうした効果を得られる可能性があります。
ぜひ、この記事を参考に魅力的なプレスリリースを作成してみてください。