毎年マーケティングのトレンドは話題になりますが、SNS の発展や消費者中心となった消費市場において今後注目されると考えられるマーケティングについてご紹介したいと思います。
【目次】
1.デジタル・デトックス
「デジタル・デトックス」という言葉はご存じでしょうか?
デジタル・デトックスとは、「SNSによるストレス」などの原因から、デジタルデバイス(スマートフォンなど)との距離を置いてストレスを軽減しようという取り組みです。もちろん完全にスマホを断つという意味ではありません。友達と過ごす時間や現実世界と触れ合う時間を大切にするために利用時間を減らそうというものです。
これにより、睡眠の質が良くなったり、目の疲れが取れるなど様々ないい効果がもたらされます。いわゆる「瞑想」や「メディテーション」といった心のケアやメンテナンスのことを言います。
このような風潮は今後も増え続けると見られており、顧客獲得やブランド認知キャンペーンなどに影響が出てくるでしょう。実際にフェイクニュースやプライバシーの問題から、SNSユーザーの約8%が、過去1年間の間にSNSアカウントを削除しているそうです。
以上の理由から、「いかにストレスの低いコンテンツを発信していくか」という観点も重要になってくるでしょう。
2.AI(人工知能)
より一層AIが一般化するだろうと言われています。車の自動運転技術にあるように、AI技術が私たちの身近にあるハードウェアからの刺激を適切に処理できるようにようになると示唆されています。
ソフトの面では人間の意思決定を支援したり、新しい価値を提供する方向に発展していくと予測されています。更に小説、絵画、映画、音楽といったいわゆる感性的な活動・芸術作品にもAIの進出が増加していき、模倣→創作へと発展していくでしょう。
AIが描いた「エドモンド・ベラミー」の肖像画
3.イミ消費
皆さんは「イミ消費」という言葉をご存じでしょうか?
「モノ消費」→「コト消費」という流れはご存じだとは思いますが、2019年あたりから「イミ消費」という消費者心理が注目され始めています。注目され始めた背景として、自然災害や大規模な人害などから、人々が「消費者として正しい行動をしよう」と考えるようになったことがあります。
上記のグラフにあるように人々は消費行動やサービスを選ぶ際、文化の継承や健康維持、自身のライフスタイルの表現、地域活性など、「どうあるべきか」という意味を考えるようになってきています。
具体例としてはクラウドファンディングや無農薬、食品ロス対策などが挙げられます。イミ消費に該当する物の最大の共通点は消費行動そのものに貢献感や満足感が伴うということです。
4.5G(大規模通信技術)
現在、世界の無線データ通信は第四世代、いわゆる「4G」と呼ばれているものです。KDDIやソフトバンク、docomoなどの携帯キャリアはオリンピックイヤーである2020年が「5G元年」となるように実装準備を進めているといいます。
具体的には下記画像のように、通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍になると言われています。
マーケティングにおいては、クリエイティブ面での大きな革新が起きるでしょう。現在の広告媒体は、画像と動画が半分ずつくらいでしょう。しかし、5Gに移行することによって確実に動画媒体が中心となります。
更に、ARとVRのコンテンツも大きな飛躍を遂げるでしょう。Google社やFacebook社がAR/VRコンテンツに力をいれているように、これらを活用した様々なアプリやサービスの開発が進むことでしょう。バーチャルとリアルが融合した世界がすぐそこにあるように感じます。
5.代替プラットフォーム
現在主流のSNS、Twitter、Instagram、Facebookに加えて、代替プラットフォームが2つ注目されています。
① TikTok(ティック・トック)
TikTokとは、若い世代に絶大な人気を誇っているSNSプラットフォームことで、15秒程度の動画を撮影し、加工・編集して投稿することができます。動画プラットフォームといえば「Youtube」が思い浮かぶはずです。しかし、Youtubeは自分でコンテンツを考え、クオリティの高いものだと撮影機器などを使って撮影、長い時間をかけて加工・編集する必要があります。
一方、TikTokはあらかじめ音源やフィルターが備わっているので初心者でも簡単に動画を加工し、投稿することができます。実際に16~24歳のユーザーが41%を占めており、若者をターゲットにしているB2C企業には活用の価値があります。
② Pinterest(ピンタレスト)
Pinterestは、一言で言うと「画像収集サービス」です。新規で登場したサービスではありませんが、最近人気が再燃しています。
電通と戦略的提携を結んでいる点、アナリティクスが利用できる点、商品画像から購入ページに飛ぶことができる点などから非常にマーケティングと相性がよく、中でもEコマースに向いています。
このように代替プラットフォームを活用することによりオーディエンスとの交流の場を広げ、幅広くコンテンツを共有することができます。
6.SDGs(エスディージーズ)
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)という意味です。つまり環境や経済、社会のバランスを考え、世の中全体を持続可能な状態にしていく考え方のことです。日本ではどちらかというとCSR(企業の社会的責任)という言葉のほうが根強いかもしれませんね。
SDGsは「17の目標」と「169のターゲット」で構成されています。具体的なSDGsの17の目標としては以下が挙げられます。169のターゲットとは、この17の目標をより具体的にしたものになります。
オーストラリアでの大規模火災や新型コロナウイルスの感染拡大など、様々な社会問題がある中で企業はどのような取り組みをできるのか、このSDGsを重視した環境保全活動や社会貢献をすることは、自社と他社との差別化ポイント、つまり「自社の商品・サービスを選んでもらうポイント」になるということです。
7.サブスクリプション方式
最近「サブスク」という言葉を耳にすることが多くなっていませんか?それがこのサブスクリプション方式のことです。
サブスクとは、製品やサービスの一定期間利用に対して、代金を支払う方式です。
本来のサブスクリプションは、「定期購読」などの意味を表していたのですが、近年「定額制のサービス」という認識に変わってきています。
サブスクリプションに関しては以下の記事を参考にしてみてください。
それでは具体的にはどのようなサービスがあるのでしょうか?3つ程ご紹介します。
外食×サブスク「牛角」
2019年年末にSNSでもかなり話題になりました、牛角のサブスクです。
ソフトウェア×サブスク「Adobe Creative Cloud」
こちらもかなり有名なサブスクです。2013年より主力製品だったパッケージソフトを買い切り方からサブスク型に転換しました。
ファッション×サブスク「airCloset」
サブスクはファッション業界にも広がっており、月額料金で服を借りられるサービスが増えてきています。
今後は、このようなサブスク型のサービスがもっと多くの分野に広がるでしょう。
2020年マーケティングトレンド7選のまとめ
いかがだったでしょうか?
技術や消費行動が変化するとともにマーケティングも変化します。
マーケターやビジネスマンであるあなたはその変化に対応していかなければなりません。
様々な方向にアンテナを張って最新の情報をキャッチし、ビジネスに活用してみてください。