皆さんはホームページを開いたときに「ご質問など何でもチャットで聞いてみてください!」などといったチャットがポンと出てきたという経験はあるでしょうか。
近年急に目にすることが多くなってきたサービスですね。このようなウェブ接客やチャットボットと言われるサービスは、FacebookやLINEによるチャットボットテクノロジーの導入が火付け役と言われています。
AI技術の発達やユーザー体験の重視などにより、これからの時代に適したサービスとしてAIチャットボットは大きな注目を集めています。チャットボットサービスを導入してみたいけれど、どうしたらいいのかわからないという方も少なくないでしょう。
今日はそんな方のためにAIチャットボットサービスについてご紹介したいと思います。
【目次】
チャットボットとは?
チャットボットとは、会話のシミュレーションを行うコンピュータプログラムのことです。ユーザーがメッセージを入力するか、オプションリストから選択すると、その内容に沿ってボットが応答します。
このテクノロジーは1950年代から進化し続けてきましたが、現代のチャットボットは、モバイルメッセージングアプリのような形式でやり取りを行えるように設計されています。チャットボットは大きく、「一問一答形式」のチャットボットと「AIチャットボット」の2つに分けることができます。
- 一問一答形式のチャットボット
一問一答形式のチャットボットはシナリオのある会話であり、ユーザーに一連の選択肢を示してクリックしてもらいます。そのため、企業側が会話をコントロールして、意図した方向にユーザーを誘導しやすいシステムです。より複雑なシステムよりもはるかにコストを抑えて容易に構築できる反面、ユーザーにとって対話性に劣り、魅力に欠けるという短所もあります。また、行われた会話から学習することはできません。
- AIチャットボット
AIを活用した自動会話プログラム。構築にはよりコストと手間がかかり、誤作動も発生しやすい面があります。そのため、導入に疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、AIボットは言語を理解できるため、ユーザーにとっては、ただ決まった数の選択肢から選ぶのではなく、任意のメッセージを入力できるという長所があります。
グーグルのグーグル・アシスタントやアップルのSiri(シリ)のように、ユーザーがAIボットに好きな質問をして、回答を得ることが可能です。
さらに、学習機能によりあらゆる会話から個々のユーザーについて学び、パーソナライズされた体験を生み出せるようになります。
AIチャットボットの仕組み
アプリケーションとBotといわれるシステムをAPIで連携し、ボットシステム内で問いかけの解釈・返答生成を行い、API経由でアプリケーションに戻される、という仕組みになっています。
APIとは「Application Programming Interface」のことで、狭義にはアプリケーション作成に利用するもので、ある外部アプリの機能を共有するシステムのことを指します。
データベースに蓄積された情報から、ロジックに従って回答を探して解析するというのが基本となり、音声解析やロジックのエンジンにAIを活用するものがAIチャットボットです。
AIチャットボットが注目されるようになった背景
近年注目を集めるとうになったのには以下のような理由が挙げられます。
- Facebook Messenger のチャットボット機能の登場
2016年4月にフェイスブック主催イベントで発表された Facebook Messenger のチャットボット機能により、チャットボットが広く知られるようになった言われています。LINEもチャットボットサービスを開始し、チャットボットへの注目度が急速に高まりました。 - 機械学習・AI技術の発展
人とコンピュータがコミュニケーションするということは、機械側が柔軟に解釈し返事を行うことが求められます。従来はコンピュータの苦手とする領域でした。しかし、自然言語処理がさまざまな手法で発達し、さらにディープラーニングと呼ばれる機械学習の新しいブレイクスルーが生まれ、これが最近のAIブームにつながっています。
機械が人間の発する曖昧な言葉を解釈、意図を読み取り返事をするということができるようになり、その技術を応用したチャットボットが注目されています。
- ユーザー体験の重視
企業がチャットボットに注目するのは、顧客に対して優れたUX(ユーザー・エクスペリエンス)を提供し、競争優位を築こうとしているためでもあります。商品やサービスが成熟し溢れている現代では、人々は高機能なだけでは注目しなくなり、特別な体験にこそお金を出すようになりました。このような理由から企業がUXを重視する傾向が強まっています。
チャットボットを利用したメッセンジャーアプリにさまざまなサービスを取り込み、ユーザーにクーポンを配布するなど、企業からユーザーへの新しいコミュニケーションチャネルとしての用途が広がっています。ヤマト運輸やSBI証券など、LINEのチャットボットを導入している企業は増えてきています。
チャットボットの活用シーン
チャットボットには以下のような様々な活用例があります。
- レストランなどの予約
- ECサイトにおける商品の説明
- 宅配便の再配達の申込
- ゲーム内のキャラクターなど、企業がサービスを展開するためのツールとして利用
- 娯楽として、人工知能と雑談を楽しむ
チャットボット導入のメリット
チャットボット導入のメリットとしては以下のようかものが挙げられます。
- 人件費の削減
チャットボットを用いたカスタマーサポートでは、簡単な質問にはチャットボットが答えます。答えられない場合はオペレーターに引き継ぎます。チャットボットを活用することで、オペレーターが対応する時間が減るため、人件費が削減できます。 - 対応の質の維持
チャットボットには、あらかじめ想定される問い合わせ内容とその回答が登録されています。 過去にユーザーから受けた質問を基に作られたFAQや商品情報から適切な回答をチャットボットが検索し、ユーザーに返信・提案します。オペレーターが対応した場合、カスタマーサポートの品質はオペレーターの経験に左右されることがありますが、チャットボットを導入すると、均一なカスタマーサポートが可能となり、品質向上につながります。 - 顧客との接点の増加
ウェブ上での企業とユーザーの接点として、Webサイト、アプリに次ぐ第三の接点がチャットボットになっていくでしょう。チャットボットのボット(Bot)を作成し、LINEやFacebook Messengerなどのプラットフォームに公開すれば、そのプラットフォーム上にもユーザーとの接点を作れます。一度チャットボットを利用してくれたユーザーには、再度企業側からメッセージを送ることもできるため、再訪率もウェブページに比べると断然高いという大きなメリットがあります。 - データ蓄積によるマーケティングへの活用
顧客との会話のログを蓄積させ、さらに自然言語処理技術によって会話履歴を分析し、一人ひとりの顧客のニーズに合わせたマーケティングを実現できれば、大きな収益向上につながります。また今まで顧客のニーズに答えるために割いていたコストも機械化によって削減することもできます。
チャットボットを選ぶ際に着目すべきポイント
AIチャットボットを選ぶ際のポイントは以下の4つです。
- 自社の業務に特化した機能があるか
チャットボットは、主にモバイルで提供されており、コールセンター業務・問い合わせ対応・商品の紹介・スケジューリングなど多く業務に対応しています。どういった機能が必要なのか洗い出し、導入事例を確認して自社の業務に合ったものを選びましょう。
- チャットボット完結型か有人切換のハイブリッド型か
チャットボットには、自動応答でチャットボットのみで完結できるタイプの「チャットボット完結型」とチャットボットでは対応しきれない難しい質問にはオペレーターが対応するハイブリッドなタイプの有人切換の「ハイブリッド型」の2種類があります。自社で利用する際はどちらが良いかを検討した上で、選びましょう。 - FacebookやLINEと連携可能か
最近、Facebook・LINEを始めとしたSNSでチャットボットを利用できるようになりました。ユーザーはこれらのSNSの画面になれているため、使いやすいと思われます。各SNSが利用できるかどうかを確認した上で選びましょう。 - ユーザビリティに優れているか
使いにくい画面だと、ユーザーはチャットボットを利用しづらくなります。チャットボットはサービスによって質問文の形式や回答のロジックが異なります。どの程度のやり取りが必要なのかを考え、回答ロジック・質問文の形式を選びましょう。
AIチャットボットサービス3選
hitobo(ヒトボ)
費用:非公開
導入先:トレンドマイクロなど
LINEやFacebookメッセンジャーでの運用も可能。機能の面はシンプルで必要十分ですが、用途に合わせた運用で効果を発揮できる印象です。サイトデザインも洗練しています。
AI.BiS(アイビス)
費用:初期費用/非公開 運用費/29,800円~(月額)
導入先:非公開
チャットボットサービスChamoをリリースしている株式会社チャモのサービス。ターゲット顧客設定、サイト訪問者の可視化などノウハウに基づく機能が充実しています。
Chat Dealer(チャットディーラー)
費用:毎月定額料金(非公開)
導入先:株式会社オークファンなど
グループ企業合計53,600社にサービス導入の実績があるというチャットサービス。カスタム機能や解析などを備え、同社のサービス「メールディーラー」との連携などもあり、機能面、導入事例共に非常に充実しています。
チャットボットサービスのまとめ
時代の移り変わりとともに、顧客への効果的なアプローチの方法も変化します。そんな変化に対応する良い手法の一つとしてチャットボットを活用してみてはいかがでしょうか。