IT技術の発展により、パソコン一つあればわざわざ会社に行かなくても働ける時代となりました。加えて、働き方改革の影響で日本政府が推薦しているテレワーク・リモートワークはおよそ10年ほど前からとても注目されています。
そこで今回はテレワーク・リモートワークのメリットとデメリットをご紹介します。
【目次】
テレワーク・リモートワークとは
テレワークとリモートワークの違い
テレワークとは、離れた所を意味する「tele」と働くを意味する「work」を組み合わせた造語です。日本テレワーク協会によって情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方のことと定義されています。
一方でリモートワークとは、遠隔や違いを意味する「remote」と働くを意味する「work」を組み合わせた言葉です。リモートコントローラー(リモコン)についているリモートと同じ意味です。オフィスから離れた場所で働く働き方のことを指します。
細かな違いは存在するものの、どちらも離れた場所で働くことを指しますので今回は同じ意味の言葉として扱い、「リモートワーク」と表現します。
リモートワークの種類
リモートワークとは様々な働き方が含まれている言葉で大きく4つに分けることができます。
1.フルタイム・リモートワーク
企業に雇われている形で勤務時間の100%をリモートで働きます。
2.ハイブリッド・リモートワーク
企業に雇われている形で、何日かはオフィスに出勤し、残りの何日かはリモートで働きます。
3.リモート・アウトソース
企業に雇用はされておらず、クラウドワークスなどのアウトソーシングサービスを使って仕事を外注し働きます。勤務時間は100%リモートで働きます。
4.テンポラリー・リモートワーク
企業に雇われている形で、オンライン会議など単発的で短い仕事をリモートで働く形です。
テレワーク・リモートワークのメリット
<企業側のメリット>
- 優秀な人材の確保・維持
リモートワークを容認することで、育児や家の都合など何らかの理由でオフィスでは働くことができない優秀な人材を確保・維持しやすくなります。また、働く場所を問わずに求人することができるので、優秀な人材を世界中から確保することができます。
- コスト削減
リモートワークをする社員が増えれば、社員が使っていた場所が空くのでオフィスの広く使うことができたり、電気代・通勤手当などの各種間接経費を削減することができます。
- 生産性の向上
上司からの圧力やハラスメントなど、職場でのストレスは社員のパフォーマンスを下げる大きな要因となります。リモートワークにより社員が働きやすい環境で勤務できるようになればストレスも少なくなり生産性の向上につながるでしょう。
<働く側のメリット>
- 通勤時にかかる時間とストレスの削減
リモートワークになることで、オフィスに行く必要がなくなるので通勤・帰宅時のストレスや所要時間を減らすことができます。それにより、今まで通勤に使っていた時間を有効活用できるようになり、生産性の向上に繋がります。
- ワーク・ライフ・バランスの向上
リモートワークを通して、自分のライフスタイルや生活習慣にあった働き方をしやすくなります。女性が出産や育児を理由に離職する割合も低くなります。また、家族と過ごす時間や個人的な時間に充てることができるようになります。職場からの解放は、仕事と私生活の両立を目指すための大きな手助けとなるのではないでしょうか。
テレワーク・リモートワークのデメリット
<企業側のデメリット>
- 評価基準が不明瞭
社内にいればその社員がどれだけ働いてどれだけの成果を出したかは分かりやすいはずです。しかし、リモートワークが導入されることによって社員同士のコミュニケーションを管理しにくくなり、誰が・いつ・どの仕事をやったのかが不明瞭になる可能性があります。
- セキュリティの問題
リモートワークによって社員がオフィス外で働く時間が増加します。その上で、データ管理などセキュリティ面には一層の注意が必要になります。企業側が管理を怠らないのと共に社員側にも気を付けさせなければいけません。
- コミュニケーションの欠如
リモートワークが増加することで社員同士のコミュニケーションの機会も減少します。そのため、お互いの状況確認や、熱量の高いミーティングの開催などが難しくなるケースがあります。プロジェクトや業務を効率的に進めていくためには何らかの取り決めやルールが必要になるでしょう。
<働く側のデメリット>
- コミュニケーションの減少
リモートワークの導入によって、社員同士のコミュニケーション量と質は相対的に減少します。もちろんチャットでの会話は行われると思いますが、意識しなければ雑談やノウハウの共有は通常の勤務形態と比べて少なくなるでしょう。
- 仕事とプライベートが同化
オフィスで働く場合の勤務時間は基本的に8時間程度だと思います。リモートワークによって自分で勤務時間と勤務地を決められるようになることで、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりがちです。起きる時間も決められているわけではないので生活習慣も乱れがちになります。規律ある生活を意識して行うことができる人でないとリモートワークは難しいでしょう。
リモートワークの導入事例
日産自動車
日産自動車は、生産工程を除くすべての従業員を対象にリモートワークを導入しています。育児・介護の理由であれば勤務時間のうち50%を在宅勤務可能にしました。
女性職員だけでなく男性職員にも好評で、2015年にはリモートワークの利用者が社内で5000人に及びました。
ユニ・チャーム
ベビーケア、フェミニンケア商品を提供するユニ・チャームは2017年1月にリモートワークを導入しました。在宅勤務する場合は独自の管理ツールを利用し、事前に上司に合意を得ることが必要です。効率的に業務をこなさせるために始業時と終業時は上司に連絡し、翌日成果を報告するというルールがあります。
リクルート
就活求人だけでなく事業領域を拡大し続けるリクルートは、2016年1月にリモートワーク制度を導入しました。
派遣社員も含めた全社員にリモートワークは導入されており、コワーキングスペースやカフェなど好きな場所で仕事をすることができます。セキュリティ対策として会社側からPCとスマホが支給されるそうです。
テレワーク・リモートワークのまとめ
チャットやビデオ会議などの発達により、テレワーク・リモートワークといった勤務形態は今後も益々普及していくでしょう。海外では、およそ7割の人がリモートワークを利用しているというデータもあるほどです。これを機会に自分の働き方を見直し、自分にあった働き方を考えてみてはいかがでしょうか。