仮想世界と現実世界が繋がるARやVRは、もはやSFの世界のものではありません。
特にARは、私たちの生活の様々な場面で活用されるようになりました。
そこで今回は注目のAR技術について、基本情報からマーケティングにおける活用方法など、未来のARの活用について幅広くご紹介したいと思います。
そもそもARとは?
AR(Augmented Reality)とは、日本語で「拡張現実」という意味です。
その名の通り、私たち人間が普段目で見ている現実世界を拡張させるための技術のことで、社会現象にもなった「Pokemon GO」をイメージしていただけると分かりやすいと思います。スマートフォンやスクリーン越しに新たな景色を追加するための技術、つまり現実空間とデジタル空間の融合を実現するのがARです。
<ARとVRの違い>
ARとよく混同されやすいものにVRがあります。
ARは先程も述べた通り、現実風景の中にバーチャルの何かを溶け込ませるための技術です。一方、VR(Virtual Reality)は日本語で「仮想現実」という意味で、現実に模した仮想の空間を作り出すための技術です。
VRは現実とは違った空間自体を作り出すのに対し、ARは現実を拡張するために実際の風景に情報を重ねるのが2つの異なる点です。
ARが今後さらに注目される理由
今後さらにARが注目されるであろう理由が大きく4つあります。
1. 大規模通信(5G)
5Gが登場すると、通信速度は現在の100倍になるといわれています。これは2時間の映画が5秒程度で読み込み完了してしまうくらいの速さらしいです。
3Gから4Gに移り変わった際には、Instagramなどの画像メディアからYouTubeやHuluなどの動画メディアが出てきましたよね。5Gに移り変わる際にも、同じように動画メディアからさらに大容量のコンテンツを含んだARメディアが登場することが予想されます。
2. AR グラス
一般消費者向けのマーケットも立ち上がりつつあり、Snapchatで有名なスナップが出している「Spectackles 3」や「Nreal Light」といったARグラスが、日本国内でも発売開始されています。
値段は4~5万円程度なので手が届かない値段でもありません。デザインも機能性も日常使いできるようになるのはもうすぐそこなのではないかという印象を受けます。
3. AR クラウド
Instagramの画像やTikTokの動画のように、自分が体験したことを誰かと共有するという行為はユーザーの満足度を高めるという点で重要な要素の一つです。
今後ARで体験したり作成したコンテンツを他の人と共有できるクラウドサービスが出てくることで、よりマーケティングとして活用できる機会が増えてくるかもしれません。
4. AI(人工知能)
AR技術において、現実世界を正しく認識する力というものは必要不可欠な要素です。リアルタイムに画像認識しているという点で、AR技術はAIの力でまだまだ成長できる可能性があります。
Googleの文字認識技術のようにAIによって現実世界を認識する能力はかなり進歩してきているので、今後は更に精度の高いAR機能が増えてくることでしょう。
AR技術の種類
1. 位置情報 AR
GPSなどから得た位置情報を映像に付け加えるARです。スマホやタブレットなど、既存のデバイスやプラットフォームで簡単に利用することができます。
コンテンツとしては主に地図アプリなどで利用されており、上の画像のように、道にデバイスをかざすと進行方向を矢印で示してくれるといったものが代表的です。
しかし、難点としてはGPSに頼っているのでズレが生じたりする場合があることが挙げられます。
2. マーカー型ビジョン AR
AIによる画像認識や空間認識を用いて情報を表示するARです。「マーカー」と呼ばれる特定の図形をカメラで読み取ると、カメラ越しに情報が表示されるという特徴を持っています。マーカーが起点となるので、表示させたい場所に位置情報なしで表示させることができます。
例としては、学習サポート用の教科書ARが主なコンテンツとして挙げられます。算数の立体図形など、平面の教科書では見ることのできない部分をARで補ってみることができます。
3. マーカーレス型ビジョン AR
先ほどご紹介したマーカー型ビジョンARと違い、こちらのマーカーレス型ビジョンARには、その名の通り目印となるマーカーが必要ありません。映し出された映像や画像を認識して情報を付加するARです。
写真撮影アプリ「SNOW(スノー)」のように、人の顔を認識して犬の顔や猫の耳を付けたりする機能が代表的なARコンテンツです。
画像認識や空間認識に関する専門的な知識が必要となる点で、紹介した3つの中では最も運用難易度が高いモノとなっています。
ARをマーケティングに活用するメリット
話題になる
ポケモンGOなどの最新のAR技術を活用したアプリの流行により、ARは企業だけでなく消費者に対してもかなり認知されるようになりました。現在のトレンドワードであることに加えて、今までにはなかった有益なコンテンツ提供できるARは、他のサービスと比較しても話題になりやすいといえます。
ユーザーの利便性や体験の向上
AR技術を活用することによって、今までよりも視覚的に分かりやすく伝えることができるようになります。
例えばポケモンGOのように、リアルな映像にバーチャルな情報を盛り込むことでよりコンテンツの世界観に没入しやすくなります。また、地図アプリのように方向感覚が優れていなくても実世界で行きたい場所への方向を指示してくれるだけで分かりやすくなるでしょう。わざわざ洋服を着替えなくても仮想的に試着したりすることで、ECなどのオンラインでの購買行動にも影響するでしょう。
楽しい
AR技術を活用することは、コンテンツの充実につながります。
SNOWのようにアバターを変化させたりすることでコミュニケーションが活性化したり、脱出ゲームや謎解きゲームにARを用いることでリアルとバーチャルが融合した新しい世界が出現します。
ARの導入事例
最後に、ARを活用したサービスやアプリの導入事例をご紹介します。
「Google MAP(グーグルマップ)」のARナビゲーション機能
みなさんが一度は使ったことがあるのではないかと思われる「Google MAP」ですが、すでに一部ユーザー向けにα版のAR機能が配信されています。目的地を入力するとそこまでの行き方を上記の画像のように案内してくれる位置情報型のARサービスです。一般公開されるとより一層ユーザーの利便性が向上しますね。
「PORTAL」ポスターのモデルが動き出す!?
YouTube: https://youtu.be/ZFvA8EYtES
世界最大のARコンテンツアワードである「Auggie Award」にて、ファイナリストに選出された株式会社MESONが提供するARサービスが「PORTAL」です。2019年8月には六本木・銀座に店舗を持つ「JOSEPH」にて実装されたマーカー型のARサービスです。
タブレットを店内にあるポスターにかざしてスキャンするとその服を着たモデルのファッションショーが始まります。
このアプリは、実際にそのモデルが着用しているアイテムの値段を確認することが可能なので、良いなと思ったアイテムを自分のスマホで記録してあとで購入することも可能です。
「FXMIRROR」日本初のバーチャルフィッティングサービス
「FXMIRROR」は、アパレル商品を購入する際のサイズ不安に着目したサービスを展開する株式会社メイキップによるバーチャルフィッティングサービスです。実際に洋服を試着しなくても、着用イメージをモニター内で確認することができます。店舗に在庫がない商品でもFXMIRRORを利用することで試着できるので新たな販売チャネルとして活用されるでしょう。
「MEGANE on MEGANE」3Dのメガネをバーチャル試着
「MEGANE on MEGANE」は、店頭で着用中の眼鏡をリアルタイムで映像から消し、その上から3Dの眼鏡をバーチャル試着できるARサービスです。メガネを試着する際、店頭にあるサンプルのメガネに度数が入っていないために自分の姿がよく見えないという課題を解決するために開発されました。
モニターの前に立つと、かけている眼鏡が自動でスキャンされます。スキャンが終わると今かけているメガネが消え、自分が試着したいメガネをバーチャルで試着することができます。今後はメガネに限らずファッション業界やECサイト等、様々な分野でバーチャル試着が活用される可能性を大いに含んでいます。
「Tyffonium Cafe(ティフォニウム・カフェ)」AR技術を利用した魔法のパフェ
渋谷パルコ地下一階にオープンしたTyffonium CafeではAR技術を利用した「魔法パフェ」を販売しています。店内にあるタブレットをパフェにかざすと上記のような幻想的な映像が映し出されます。AR技術が普及することによって商品の味だけではなく、提供される「体験」も含めた1つのエンターテイメントとして食を楽しむことが可能になるでしょう。
「Yepper」クレジットカード情報ARサービス
AR技術は金融業界にも波及し始めています。インドの企業である「Yepper」はスマホをクレジットカードにかざすとそのクレジットカードの使用履歴や利用可能残高をARで確認できるマーカレス型AR機能を開発中です。クレジットカードを利用する際の面倒な確認作業を省くことができるという点で便利になることが期待されます。
ARなぞ解きゲーム×サイコパス
渋谷では人気アニメ「PSYCHO-PASS(サイコパス)」とコラボしたARなぞ解きゲームが開催されています。AR技術を活用するスタートアップ企業、プレティア・テクノロジーズによって開発されました。スマホを通して、ARキャラクターと協力しながら実際の街を歩き回り、謎を解いていく新感覚エンターテイメントとなっています。このようにオフラインのイベントであっても活用可能なARは今後益々多くの分野で活用されていくでしょう。
実際の体験映像 → https://youtu.be/T16v7Yz14DM
ARを用いたマーケティング方法のまとめ
いかがでしたでしょうか。
現実世界を補うための「何か」を追加して私たちの日常を更に豊かで便利なものにするAR。スマホやタブレットなどのモバイル端末と相性がよく、今後もさまざまな分野で発展していくことでしょう。