香りマーケティングとは?効果や企業の導入事例もご紹介

香りマーケティングとは?効果や企業の導入事例もご紹介

朝の電車内のこもった香り、自然の中で感じるさわやかな香り、レストランで漂う料理の香りなど私たちは様々な香りに囲まれて生活しています。もちろん自分の好きな香りには良い印象を持ちますし、嫌いな香りには悪い印象を持つこともあるでしょう。

そんな中で活用されているのが、香りを意識的に操作して戦略的に用いるマーケティング戦略である「香りマーケティング」です。

今回は、香りマーケティングについて導入事例と共にご紹介したいと思います。

香りマーケティングとは?

香りマーケティングとは、企業活動において、香りを活用することにより、新たな価値を想像する活動やプロセスのことです。これは香りマーケティング協会によって定義されています。

私たちは日常において何気なく感じている香りですが、その種類は無数に渡ります。例えば、本屋や家具屋の匂いを嗅ぐと落ち着く、映画館のポップコーンの匂いを嗅ぐとワクワクするなどの具体例を挙げることができます。このように香りを含めた人間の五感は感情と深く繋がっており、嗅覚は感情に75%もの影響力を持つと言われています。感情に多大な影響力のある嗅覚を通して、消費者の購買意欲を促進させたり、イメージを与えたりするのが「香りマーケティング」なのです。

香りマーケティングの効果

香りマーケティングがどのような効果を持っているのかをご紹介します。

プルースト効果

香りマーケティング プルースト効果

https://squareup.com/jp/ja/townsquare/how-to-use-scent-for-marketing

プルースト効果とは、ある特定の匂いがそれにまつわる記憶を誘発する現象のことです。プルースト効果の例をいくつか挙げてみます。

・街角で誰かとすれ違った時、ふわっと残った香水の匂いで昔の恋人を思い出す。
・レストランで食事をしている際に、何気なく注文した料理の匂いがお母さんの作ってくれた料理の匂いと似ており、子供のころを思い出す。
・たばこの匂いでそのたばこを吸っている知人を思い出す。

香りマーケティングではこのプルースト効果を活用し、顧客の印象を操作したりブランドイメージを統一させたりします。

ブランド・セント

ブランド・セントとは、企業やショップが自社のブランドイメージに基づいて独自に開発した香りのことを指します。

商品やサービスを提供する場所でブランド・セントを漂わせることによって、顧客はその香りを元にしたブランドイメージを記憶することになります。そしてもう一度その場所を訪れた時には、香りを元にそのブランドのことを思い出しますし、街中で似たような香りをかいだ際にも、そのブランドのことを潜在的に意識するようになります。

マーケティングには様々な種類がありますが、このブランド・セントを活用したマーケティングは顧客の感情的な部分に訴求することができるという点で効果的です。

ブランド・セントを活用したマーケティングの流れは以下のようになります。

ブランドセント マーケティング活用 流れ

  1. 香りの導入
    人によって香りの好き嫌いはありますが、顧客にどういうブランドイメージを持ってもらいたいかに合わせて調合した香りを、店内BGMやロゴなどと合わせて顧客にかいでもらいます。
  2. 香りの定着
    2度目の来店の際などに香りを記憶してもらい、ブランドイメージの一つとして定着させます。
  3. 香りの商品化
    ブランドの香りを商品化することで、その香りを気に入った顧客やブランドファンの購入に繋がります。
  4. 香りの記憶
    店舗以外でもブランドの香りを感じてもらうことで、顧客とブランドとの接点が増え、リピート率が向上します。
  5. 香りの連鎖
    今までブランドのことを知らない顧客にも香りを通じてアピールできるので、新規顧客の獲得が期待できます。
  6. 香りの拡散
    SNSを活用し、口コミなどで拡散がされることで、更に新しい効果が見込めます。

ブランディング

先ほども述べたように香りは、企業のイメージと深く関わっており、顧客にどんなイメージを持ってもらいたいかによって香りの種類も変える必要があります。ここでは香りごとにどのようなイメージを持つのかをご紹介します。

  • 認知を活性化させる香り:ローズマリー、ペパーミント
    ローズマリーには、リフレッシュや爽快感を与える効果だけではなく、脳の血流を改善、集中を促し、記憶力の向上に効果があるとされています。
    ペパーミントは、疲労回復や眠気覚ましに効果があるといわれています。
  • 親近感を持たせる香り:ゼラニウム、お菓子系の甘い香り
    ゼラニウムは、人との関わり合いを促す香りで、会話やアイコンタクト、物理的な接触が増えたという実験結果もあります。
    また、チョコレートやバニラなどの甘い香りが空間に漂っているとその場で会話している相手の印象が良くなることも分かっています。
  • 副交感神経を働かせ落ち着く香り:セドロール、ラベンダー
    セドロールは、ヒノキなどの香りに含まれており、森林でリラックス効果があるとされているのはこのセドロールの効果だと言われています。また、とある実験で就寝前後2時間にこの香りを被験者のいる部屋に漂わせたところ、寝付くまでの時間が早くなったという結果も得られています。

香りマーケティングを活用した企業の事例

最後に香りマーケティングを実践している企業の事例をご紹介します。

HUGO BOSS(ヒューゴボス)

HUGO BOSS

引用:https://wakibullah.wordpress.com/2012/11/21/hugo-boss-brand-analysis/

世界的ファッションブランドであるHUGO BOSS(ヒューゴボス)の店内には、バジル、ジュニパー、コリアンダーの香り、パチョリ、シナモンの香り、ゼラニウムとベルガモットの3種類の香りを調合したオリジナルフレグランスの香りが漂っています。このフレグランスは、エレガントでクラシックなイメージを顧客に抱かせます。

すみだ水族館

すみだ水族館 マーケティング

引用:http://park.tachikawaonline.jp/news/aquarium/13605/

すみだ水族館では、来場者に本格的なリラックス空間を提供するために、「Arobalance(アロバランス)」という特別な香りを水族館内に漂わせています。Arobalanceとは、ストレスに影響を与える交感神経に働きかける天然成分の研究から生まれた画期的なアロマオイルです。

その他にも5階ペンギンプール周辺の広いエリアには、夏と秋はすっきりとした清涼感のある香りを、冬と春にはフローラルな甘みとすっきりとしたハーブを調合した香りを導入するなど季節に合わせた香りを導入しています。

日産自動車

NISSAN

世界的に有名な自動車会社である日産自動車は、自動車メーカーで初めて香りによるマーケティングを行っている企業と提携を結びました。日産車を柑橘系の香りとグリーンティーの香りに、カルダモン、タイム、ドライウッドを調合した日本独自の文化を融合させた香りにしました。

香りマーケティングのまとめ

いかがだったでしょうか?

香りマーケティングを活用することで、顧客に自社のブランドイメージが伝わりやすくなります。

商品やサービスの販売促進のためには、顧客にいかに良いイメージを持ってもらうかがポイントになってきます。BtoCマーケティングを行う際には、「香り」にも目を向けてみて下さい。