ニューロマーケティングとは?問題点や事例もご紹介

ニューロマーケティングとは?問題点や事例もご紹介

消費者のニーズが多様化してきた現代において、消費者に刺さるようなコンテンツ作りが上手くいかず悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

そんな中で活用できるのが、脳科学の知識をマーケティングに応用する「ニューロマーケティング」です。

今回はニューロマーケティングについてご紹介します。

ニューロマーケティングとは?

ニューロマーケティングとは、脳科学の知識を使って消費者の無意識下にある心理や行動の仕組みを把握し、マーケティングに活用するというアプローチです。

従来は、消費者の声を知りたいと考えた際にはアンケート調査などが一般的でした。しかし、アンケート調査は消費者が認識可能で、言語化できている情報しか集めることができませんでした。また、アンケートでは消費者の本音を確実に引き出せるとも限りませんし、誤りが発生している可能性があります。そこで、消費者の意思決定プロセスの中の無意識下の感情の動きなど、脳からの反応を数値化し、客観的に評価できるアプローチ方法としてニューロマーケティングが注目を集めています。

ニューロマーケティングのメリット

ここではニューロマーケティングのメリットをご紹介します。

  • 本音を引き出せる
    人間の心理の9割は無意識とも言われています。そして人間のほとんどの行動は無意識下に行われていることが多いのも事実です。ニューロマーケティングは脳科学の知識を活用して消費者の無意識下にある意思決定プロセスにアプローチできます。つまり、消費者の言葉に現れないような感情の動きなどを分析することができます。なので、従来までのアンケート調査などではわからなかったような”消費者の本音”の部分を理解できるようになります。
  • 意思決定のプロセスを把握でき、数値化できる
    人間の意思決定のプロセスは全て本人が把握しているかと言われれば、そうではありません。本人でも把握できていないものをアンケートで調査してもあくまで主観的なものであり、そのプロセスが正解とは限りません。しかし、ニューロマーケティングは、無意識下にある意思決定にアプローチをしているので、意思決定のプロセスを正確に把握できます。さらに、脳の活動を計測し、データ化することもできるので、客観的に数値化することも可能です。
  • 時間ごとに感情の変化を分析できる
    ニューロマーケティングは、脳波のデータをとっているので時間ごとの感情の変化も分析することができます。その場での情報を収集するアンケート調査ではできなかった、消費者の感情の移り変わりの部分まで分析することができ、マーケティングに活用できるようになります。

ニューロマーケティングの問題点

次にニューロマーケティングの問題点についてご紹介します。

  • 倫理的な問題
    人の無意識下にある意思決定プロセスを可視化できるという画期的なアプローチ方法である一方、倫理的な問題や安全面の問題についても注意を払うことが必要となります。人間の脳には、様々な個人情報が詰まっており、それをどこまで分析することが許されるのかといったような問題もあります。だからこそ研究をする際には、倫理面や安全面を考慮して研究をしなければいけません。
  • 発展途上な技術であること
    上述したようにニューロマーケティングは、脳科学の知識を活用します。その脳科学の分野はまだまだ発展途上であり、昨日までは正しいと思われていたことが実は間違っていたということもあります。だからこそ、ニューロマーケティングの結果の正確性も疑われてしまう部分がどうしても出てきてしまうのです。
  • 人材不足
    ニューロマーケティングは、脳科学の知識を用いるアプローチ方法です。なので脳科学の分野において専門的な知識を持っている人材、データを収集し、分析する人材が不足しているということも問題点として挙げられます。人材を育成する必要があり、これからは人材育成のための環境構築なども必要となっていくでしょう。

ニューロマーケティングを活用した企業事例

白鶴酒造株式会社

白鶴酒造株式会社は、1743年に創業した老舗清酒メーカーです。

創業から270年以上という長い歴史の中で、消費者の求める商品の価値は「所有すること」から「体験すること」に変化したということに気づき、消費者の深層心理への理解を深めようとしました。

そして消費者の深層心理を理解するために、「静態評価」という商品CMやパッケージを見た際の消費者の脳波や目線などの動きを測定する手法を採用しました。そして、その結果を分析し、CM構成やパッケージデザインに活かすことで売り上げアップに成功しました。

SNICKERS(スニッカーズ)

スニッカーズは、アメリカのマース社が販売するスナックバーです。

このお菓子は「お腹が空いたらスニッカーズ」というキャッチフレーズで有名ですが、このフレーズにニューロマーケティングが活用されたと言われています。このフレーズをテレビCMや動画広告などで消費者に発信し、消費者の心理に根付かせることでお腹が空いた時にスニッカーズを消費者に連想させることに成功しました。

アサヒビール株式会社

アサヒビール株式会社は、日本の大手ビールメーカーです。アサヒビールは缶チューハイ「アサヒもぎたて」のパッケージデザインリニューアルの際に、ニューロマーケティングを活用しました。具体的には、デザインの色彩やキャッチコピー、配列などを何百パターンも用意し、人がどの部分に注目し、それについてどう感じているのかを分析しました。そして新デザインを決定しました。

ニューロマーケティングのまとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は消費者の無意識下にある意思決定を可視化するニューロマーケティングについてご紹介してきました。

ニューロマーケティングは、消費者の価値観が多様化してきた現代においてもっと活用する企業が増えてくると予想されています。

なにより消費者をより深く観察する必要が出てきたと言えるのではないでしょうか。

より精度の高いマーケティングを実現するには最適な手法だと思うので、きちんと課題を理解した上で活用してみてください。