海外の企業では、広告運用を代理店に頼らず、自社で運用しているケースが多く見られます。
今回はなぜ海外企業がインハウス運用を行っているかについてご説明していきます。
アメリカで主流となるインハウス運用
日本とアメリカの会社における広告運用には大きな違いがあります。日本では代理店に広告の運用を一括して「外注」しているケースが多いのに対して、アメリカでは広告運用を自社で一貫して行う「インハウス運用」が主流となっています。
特にゲーム会社やEC事業者、動画配信などのオンデマンドサービスでその傾向は強いようです。
多くの海外企業がインハウス運用を行う理由
① コストを抑えられるから
日本の企業はWeb広告に対する費用が平均して500万円前後なのに対して、アメリカでは数億円以かける企業が多く存在しています。この規模の広告投下が常態化してくると、代理店に払う運用手数料(マージン)も比例して増大していきます。代理店手数料が20%だったとして、広告投下額が数億円になってくると、代理店に手数料を払うよりも、自社で広告運用を行うスタッフやチームを集めた方が安く済みます。そういった点から、インハウスに切り替えた方がコストを抑えられるのです。
② 自社ユーザーデータとの連携が可能となるから
インハウス運用をすることで、広告代理店には公開できない自社のユーザーデータを活用することができます。これにより、例えば初期流入ユーザーを分析することで、LTV(顧客生涯価値)の高いユーザーを割り出し活用することも可能となるのです。そして、サービス内において将来的に重課金者になるユーザーを発掘するためにも、サービス内のデータとユーザーのデータを組み合せる必要があるので、外部にデータを漏らしたくない企業はインハウス運用を行うのです。
③ アドネットワークでの優良枠の買い付けができるから
アメリカのアドネットワークは広告主と直接取引をしたがります。アメリカでは伝統的に強い広告主が存在しているからです。しかし、代理店に委託しアドネットワークの広告枠を買い付ける場合、手数料が予め含まれた金額で購入しようとするため、アドネットワーク側はリアルタイムビッディング(RTB)のCPI単価が広告主の提示した許容値よりも低くなってしまいます。これでは、広告主にとっても、入札で競合企業に負けてしまう可能性も高くなります。それ故、広告主は代理店に委託せず、インハウスで運用する傾向があるのです。
④ 成果・ROIの向上につながるから
インハウスで運用することにより、これまで外注や多層的なチームによって肥大化していたプロセスやコミュニケーションの壁が圧縮され、リアルタイムな最適化が可能となります。それにより、成果が向上している企業が多く存在しています。
海外企業のインハウス運用方法
チーム体制
効果的な広告運用を行うためには常に最新の情報を得なければならず、スピード感のある運用が重要です。そのため、広告運用のリソースやノウハウを一人に任せるのではなく、複数人のチーム体制にして運用しています。
媒体の最適化
10社以上のアドネットワークを常時運用している企業もあります。毎月、2~3社程新規のアドネットワークを試し、良いところがあれば入れ替えて運用を行っています。これを行うことで常に効率的な運用を行うことが可能となります。
インハウス運用を行う事例
Netflix(ネットフリックス)
Netflixはアメリカ・カリフォルニア州に本社を置く、映像コンテンツのストリーミング配信事業会社です。同社の広告全般における課題は「オリジナルコンテンツを普及させながら、会員を獲得すること」です。
第三者に頼らず、社内でデジタルマーケティングを置く英断ができる土壌が、インリード広告でもたらされる”価値の高いインプレッション(動画広告の表示回数)”や”ビューアビリティー(動画広告の完全視聴率や、きちんと広告が見られる場所・状況への露出)”に関する指標の使いこなしにつながっています。
Netflixデジタルマーケティングマネージャーの鴨下氏は「我々は5年、10年先を見据えた、デジタルマーケティングのプロフェッショナル組織を目指しているわけです。インハウス運用を行うことは自然な流れで、常に先を見越すために、エージェンシーなどに頼らず、自社でナレッジを溜めています。」と語っています。
まとめ
いかがだったでしょうか?海外企業の多くがインハウス運用をしていくのは、広告代理店が仲介するよりも大きなメリットを見出している場合があるからです。ご参考までに。