「カスタマージャーニーマップ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。文字通り顧客の旅、つまり顧客の購買行動を図にしたものであり、マーケティングで使われる手法の一つです。今日はカスタマージャーニーマップについて、作成の仕方や事例などを通しご紹介したいと思います。
【目次】
カスタマージャーニーとは

出典:https://ayudante.jp/column/2013-05-17/13-50/
カスタマージャーニーとは文字通り「顧客の旅」のことであり、顧客がどのように商品やブランドと接点を持って認知し、関心を持ち、購入意欲を喚起されて購買や登録などに至るのかという経緯のことであり、それを顧客の行動や心理に沿って時系列的に可視化したものをカスタマージャーニーマップと言います。
顧客がいつでもどこでも、インターネットにアクセスできるようになったため、それだけ商品・サービスとの接点が多様になりました。またSNSの普及も伴い、従来のマーケティング手法では顧客の購買行動を把握しきれなくなりました。そうした背景からカスタマージャーニーのように、それらを時系列で把握できる考え方が注目されるようになったのです。
作成するメリット
カスタマージャーニーマップを作成するメリットはとしては以下のようなものが挙げられます。
ターゲット理解の共通認識
顧客ターゲットという見えない対象を図解することで、顧客の行動や感情の変化が目に見えるかたちでわかり、認識を共有できることです。それにより商品・サービスの問題点も明確化し、実施すべき施策や改善点も明らかにすることができます。これは様々な情報で1人の架空の人物をつくりあげ、ターゲットを具体的にイメージし共有できるという点では、マーケティングでよく使われる「ペルソナ」にも同様のことが言えます。つまり、ペルソナに基づき時系列の変化に対応させたものと言えるでしょう。このようにターゲットに対する共通認識を持ち、時系列でターゲットの行動を明確化しそれに基づいたアプローチを考えることが可能になります。またカスタマージャーニーに基づく施策は顧客の視点に近いという点でも優れています。
MAのシナリオ設計に役立つ
マーケティングオートメーション(=MA:マーケティングの各プロセスおけるアクションを自動化するための仕組みやプラットフォーム)ではシナリオ設計が大切になります。カスタマージャーニーマップは、このシナリオ設計にも重要です。顧客が購買にいたるまでの流れが明確になることで顧客にコミュニケーションを取るべきタイミングやチャネルも見極めやすくなります。
作成の手順
1.ペルソナの設定 2.ペルソナの行動を仮説として設計 3.仮説の検証 4.フレームワークの決定 5.まとめ

出典:https://udemy.benesse.co.jp/marketing/customer-journey.html
引用:https://udemy.benesse.co.jp/marketing/customer-journey.html
1. ペルソナの設定
まずはペルソナの設定からです。まずは持っている情報を元に、ラフにペルソナを設定してみましょう。後から修正をするので、最初につくるペルソナは、想像力を大いに使って作成しましょう。なるべく細部まで具体的に1人の人物を想定しましょう。
2. ペルソナの行動を仮説として設計
設定したペルソナが、自社の商品・サービスを認知して購入するまで(購入後の行動も)どのような行動をとるのかを仮説として設計します。
この時に、ペルソナの行動をいくつかの段階に分ける必要があります。これが、カスタマージャーニーマップにおける横軸にあたります。「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」などが一般的です。段階ごとにペルソナがとる行動を洗い出していきます
3. 仮説の検証
ペルソナの行動の仮説を検証していきます。この工程には、なるべく顧客に参加してもらうのが望ましいです。難しい場合は顧客アンケートを作成して、顧客の声を集めるのも手です。顧客へのヒアリング・アンケートで仮説を検証をもとに、各段階のペルソナの行動を整理し直していきましょう。
4. フレームワークの決定
カスタマージャーニーマップのフレームワークを決定します。横軸は「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」、縦軸はペルソナにフォーカスを当てて「行動・タッチポイント」「思考」「感情」などが一般的でしょう。タッチポイントとは、企業と顧客を結ぶ接点のことであり、以前は、テレビやラジオ、雑誌などが主流でしたがSNS、ブログやインターネット広告などが主流です。
5. まとめ
最後に、検証済みの仮説を先ほど決定したフレームワークに書き込んでいきます。文章をつらつらと書くのではなく、なるべく図を多くもちいて、視覚的に分かりやすいマップになることを心がけましょう。全ての情報をまとめてカスタマージャーニーマップの完成です。
カスタマージャーニーマップの事例
カスタマージャーニーマップの事例をご紹介します。
健康保険

出典:https://heartofthecustomer.com/customer-experience-journey-map-the-top-10-requirements/
若い家族が健康保険に加入する過程のカスタマージャーニーマップです。タッチポイントの部分に折れ線グラフが使われていて分かりやすくなっています。
Airbnb(エアービアンドビー)
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出典:https://webtan.impress.co.jp/e/2013/11/14/16305
友人と2人で海外旅行に行く計画をする日本人が、世界中の人が誰かの部屋を借りたり、逆に自分の部屋を貸し出したりできるルームレンタルのプラットフォームサービスであるAirbnb(エアービアンドビー)を利用し、レビューするまでのマップです。
まとめ
カスタマージャーニーマップを活用すれば顧客の目線に立ち、近年の複雑化した顧客の購買行動を時系列的に把握することが出来ます。カスタマージャーニーマップを用いて効果的なマーケティング施策を行いましょう。