近年、キャッシュレス決済で盛り上がりを見せているのが、スマホとQRコードを活用した「Pay」系のモバイル決済サービスです。沢山のサービスが登場していますが、それぞれのサービスに個性と特徴があります。
今回は、国内のQRコード決済サービスを代表する4つのサービス「LINE Pay」「楽天Pay」「PayPay」「Origami」を比較していきたいと思います。
【目次】
「Pay」系サービスとは
モバイル決済サービスとは、大きくまとめると、実店舗やインターネットでの決済において、スマートフォンやオンラインで簡単に決済が完了できるサービスです。
それぞれのサービスのアカウントを作成し、クレジットカード情報や銀行口座などを登録し、現金を使わずに支払うことができます。
また、サービスによっては、各種ポイントカードや交通系ICカードを紐づけることも可能です。
ちなみに、中国では既に盛り上がりを見せています。メッセンジャーアプリ「WeChat」の決済サービス「WeChat Pay」やアリババグループの「アリペイ(支付宝)」などが一般的に利用されており、年間100兆円を超える市場規模に成長しています。
「Pay」系サービスの仕組みと使い方
Payサービスを実際に利用したことのない方はこのサービスがどんな仕組みかわからないという方が多いと思います。
Payサービスは、モバイルペイメントの一種で、クレジットカード情報や電子マネーの情報などによって決済を行います。各サービスでの決済は、そのサービスと個人IDと紐づけられ、決済履歴が残ったり、そのサービス特有の特典が受けられることが特徴です。
ユーザーは必要なアプリを自身の端末にダウンロードし、下記の二つの方法のいずれかで決済を行います。
① 店舗に設置されたQRコードをユーザーが読み取る
② アプリに表示されたQRコードを店舗側が読み取る
このようにPayサービスでは簡単に決済を行うことができます。
LINE Pay(ラインペイ)
さていよいよ人気国内決済サービスを比べていきたいと思います。
最初はLINE Payです。
LINE Payの特徴
LINE Payはインスタントメッセージアプリ「LINE」の決済機能です。また、QRコード決済の中でもっとも利用されているサービスです。オンライン決済にも対応しています。2018年中頃から急激に加盟店数が増え、11月には100万店舗を突破しました。
LINE Payには「マイカラー」と呼ばれるポイント還元システムがあります。2018年8月から2019年7月までの1年間は、LINE PayのQRコード決済を利用した場合に限りポイント率が3%上乗せされ、3.5%~5%と高い還元率になっています。さらに、1ポイント1円換算で1,000ポイントからLINE Pay残高に交換も可能です。店舗での支払い以外にも、LINEの友達同士なら「送金」「送金依頼」「割り勘」を手軽にすることができます。
またLINE Payは店舗向けにも優遇施策を行なっており、2018年8月から3年間の決済手数料を無料にしています。無料期間終了後の決済手数料は2.45%~となっており、クレジットカードに比べると安価に設定されています。
さらにLINE Payでは、LINE Payカード、いわゆる「国際ブランド付きプリペイドカード」を発行することができます。このカードは、クレジット決済システムを利用しています。JCB付きプリペイドカードのため、JCB加盟店であれば、国内外・実店舗・ネット通販を問わず支払いに使うことができるので、利用可能な範囲が大きく広がります。
LINE Payの利用方法
LINE PayはLINEアプリ上から簡単に登録、利用開始できます。LINE Payを利用するためには、現金をチャージする必要があります。チャージ方法としては、銀行口座、LAWSONレジチャージ、Pay-easy、コンビニ、そして銀行口座からのオートチャージの5種類があります。
決済方法としては、LINE Payカード、コード決済、LINE Pay決済の3種類があります。LINE Payカードプリペイドカードで、決済をスマートフォンにまとめるというPayサービスのメリットからは外れてしまいますが、それでも還元率2%のポイント特典が魅力です。
楽天 Pay(楽天ペイ)
次は楽天Payを紹介します。
楽天Payの特徴
楽天Payは、楽天が提供する楽天会員向けのQRコード決済サービスです。LINE Payの次に加盟店数が多いです。楽天Payアプリでは、利用できる店舗検索や店舗情報を検索することができる機能が備わっています。
また、ユーザーにとっての楽天Payの大きな利点は、「ポイントの二重取り」ができることです。決済をした際に、紐づけられたクレジットカードに貯まるポイントの他に、楽天スーパーポイントが貯まります。楽天Payアプリを使えば、お店での支払いにこのポイントを使うこともできます。
利用金額200円ごとに1ポイントが貯まり、さらに楽天カードを利用していれば100円ごとに1ポイント貯まります。また、1ポイント100円として支払いにも利用することができます。
お店に楽天Payを導入し、専用カードリーダーを用意すれば、クレジットカードや電子マネーにも対応できます。楽天銀行の口座があれば売上を翌日入金してもらえるので、現金感覚で運用できる点も店舗としてのメリットの一つと言えるでしょう。
楽天Payの利用方法
まずはアプリをダウンロード、楽天会員IDでログイン後、決済に使うカードを選択します。全ての楽天カード、Visa、Mastercardを選択することができます。
楽天Payマークのある店舗で利用することができ、店頭では楽天Payで支払うことを伝え、QRペイかセルフペイか選択した後に支払います。また、インターネット通販では決済方法の選択時に楽天Payを選択します。
楽天会員でポイントをたくさんためている人にとっては、楽天Payは楽天以外のネットショップ、実店舗でもポイントが貯まり、使えるということでとてもお得なサービスだと思います。
PayPay(ペイペイ)
次は2018年末に「100億円キャンペーン」を実施したことで有名になったPayPayをご紹介したいと思います。
PayPayの特徴
PayPayは、SoftBankとYahoo!の合同会社「PayPay株式会社」が提供するQRコード決済サービスです。手軽にダウンロードすることができ、簡単な設定・支払い・決済方法・支払い方法は複数から選択可能、個人間送金もOKと非常に使い勝手の良いアプリです。さらに、インド最大の決済サービス「Paytm」が技術提供しているということもあり安心して利用できるのがポイントとなっています。
PayPayで決済すると決済額の0.5%がPayPayボーナスとして還元されます。これは、他のPayサービスと比べると少し還元率が低いですが、審査や年連制限がないため非常に使いやすいPayサービスと言えるでしょう。クレジットカードを作りたくても作れないユーザーでも0.5%の還元が受けられるため、PayPay加盟店では積極的に使っていくことをオススメします。
また、PayPayは従来の決済アプリと違い、スキャン支払いとコード支払いの両方に対応しています。より多くの支払い方法に対応しているということは、最終的にはPayPayを使うことができる対象店舗が多くなることに繋がります。後発でリリースされたアプリなだけあり、どちらの支払いにも対応しているのはPayPayの強みと言えるでしょう。
PayPayの利用方法
PayPayで決済した場合、料金を支払う方法は以下の3通りとなります。
・PayPay残高
・Yahoo!マネー
・クレジットカード
支払い方法の優先順位も上記のようになっており、基本的にはPayPay残高から支払われる仕組みとなっています。しかし、PayPay残高やYahoo!マネーの残高が足りない場合には、自動的にクレジットカードから支払われる仕組みとなっているので、クレジットカードを登録する方は注意が必要です。
Origami Pay(オリガミペイ)
最後にOrigami Payを紹介します。
Origami Payの特徴
Origami Payは、2012年創業のベンチャー「Origami」が提供するスマホ決済サービスです。2016年5月、大手に先駆けてリリースされた、日本キャッシュレス化のパイオニアです。加盟店はファッション系が中心です。
Origami Payは他の決済サービスと異なり、決済額に応じてポイントが貯まる仕組みはありません。クレジットカードのポイントのみとなっています。しかし、2%OFFや初回利用時は50%OFFなど、店舗が独自の割引を行なっている場合があります。
例えば、ロフトでは、Origami Payで支払うと、無期限で2%OFFになります。あの吉野家でも2%OFFになります。このように割引キャンペーンが多いことがOrigami Payの特徴の一つです。
スマホ決済と聞いて、どなたもまず気になっているのはセキュリティ面かと思います。確かにスマホの中にクレジットカード情報が入っているなんて落ち着きませんよね。でも大丈夫です。Origami Payのアプリにはカード情報がそのまま保存されているわけではありません。なので第三者に見られても大丈夫というわけです。
Origami Payの利用方法
Origami Payで決済する場合、QRコード決済となります。
その方法には以下の2通りがあります。
・ユーザースキャン方式
・ストアスキャン方式
ユーザースキャン方式
アプリのホーム画面から「支払い」をタップし、カメラを起動。店舗側が提示したQRコードをユーザーが読み取る方法です。
ストアスキャン方式
アプリのホーム画面から「支払い」をタップし、QRコードスキャン画面で「バーコード」をタップ。表示されたバーコードを店舗側が読み取る方法です。大手チェーン店では、ストアスキャン方式を採用していることが多いです。
まとめ
クレジットカードをはじめとしたカード類は、持ち運べる数に限界があります。そこにPayサービスが繋がることで、決済の幅はさらに広がるはずです。
今回は、これからもっと伸びていくであろう国内Payサービスを4つご紹介しました。日本政府も主体となって盛り上げていこうとしているキャッシュレス社会。
皆さんもぜひこれを機会にPayサービスを始めてみてはいかがでしょうか。