これまで「マーケティング」といえば、企業から消費者に向けた一方的な販促活動を指すことが多かったのではないでしょうか?最近ではそういった一方通行のマーケティングは受け入れられなくなり、かわりに消費者・ファンを味方につける「コミュニティマーケティング」が注目されています。
しかし「コミュニティマーケティング」はどうやって行えば良いかわからない、何を重視すれば良いのかわからない、どんなKPIを追って、どうやってPDCAを回せば良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
今回は、コミュニティマネージャーのための世界的カンファレンス「CMX Summit」において提唱された、コミュニティマーケティングにおいて重要な7つのポイント、「7P」といわれるフレームワークをご紹介したいと思います。
コミュニティマーケティングとは?
コミュニティマーケティングとは、ある企業やブランド・商品を利用し、愛着を持っている人同士が結びつく場や仕組み作りを行うマーケティングのことです。つまり「ファンと共に行うマーケティング」です。
なおここでいうコミュニティとは「共通の関心を持つ人たちの集まり」という意味です。
既存のセミナーなどと大きく異なる点は、既存の勉強会やファンミーティングは”既存顧客のサポートを目的としていた”のに対して、コミュニティマーケティングは“イベントなどの参加者がSNSやブログなどで情報を発信することで新規ユーザーにリーチすること”を目的としています。
コミュニティ運営というとセミナーを起点にしたものもありますが、勉強が基軸でない分、イベントの幅は広がり、顧客のロイヤリティも高められるイベントを開催することができます。
7Pフレームワークとは?
コミュニティマーケティングを成功させるために抑えるべき7つのポイントが「7Pフレームワーク」と言われています。
様々な業種やブランドが存在しますが、全てのコミュニティの中心的な考え方は同じです。以下の7つの要素を正しく理解すれば、活気のあるコミュニティを築くことができるでしょう。
- 人
- 目的
- 場所
- 参加
- 方針
- プロモーション
- パフォーマンス
1.人
「コミュニティを構築するときは、常に人から始めてください」
コミュニティをゼロから構築するには、その企業の顧客は誰であるのか、またどういう目的や理由を持っているのかを正確に知る必要があります。
またコミュニティには複数のペルソナが存在する可能性があります。そのため全てのメンバーを同じように扱うのではなく、各ペルソナの特定のニーズに合わせたコミュニティ体験を作り上げる必要があることを認識する必要があります。
あなたのコミュニティは誰のものでもないということを理解することも重要です。
2.目的
「なぜあなたのコミュ二ティは存在する必要があるか」
この問いにあなたは答えられますか?
確かにコミュニティは顧客や組織に大きな影響を与えるかもしれません。
でもまず、そのコミュニティの価値を証明する必要があります。
コミュニティの目的を明確に定義することは、そのコミュニティで下す全ての決定における手助けになるでしょう。
3.場所
近年、コミュニティを運営するプラットフォームの選択肢は豊富にあります。
例えば、大規模なグループから小規模なグループ、オンラインのグループやオフラインのグループなどです。
ここで考えるべきなのは、あなたの顧客がどこに集まるのか、またあなたの顧客がどこに集まりたいと思っているのかです。
人から始めて、明確な目的に焦点を合わせることによって、あなたのコミュニティが集まるのに最適な場所を見つけることができるでしょう。
4.参加
メンバーがコミュニティに参加するには、潜在的な価値を見極め、参加方法を知り、攻撃されたりしないことを信頼する必要があります。
ほとんどの(特に大規模な)コミュニティでは、コンテンツを作成するメンバーはコミュニティにたくさんの価値を提供します。だから、そこのコミュニティのメンバーは幸せになり、結果として成功を生み出すのです。
成功しているコミュニティは誰が参加しても、その価値が提供できる場所です。
コミュニティに参加してもらうための鍵は、自分のコミュニティのためにすることを全て「実験」とすることです。新しいコンテンツや経験を作り続け、フィードバックを集め、機能していなかったもの・効果のなかったものをカットまたは改善していきます。
そのPDCAを回すことにより、コミュニティへの参加者が増えていくでしょう。
5.方針
良い方針は、全ての参加者に自分が満たされていることを伝え、コミュニティに参加するたびに価値を得ることができる方法についての道筋を示します。
リーダーとしてあなたのコミュニティの文化を形成するのはあなたの責任です。
方針を作ることは、コミュニティを包括的、安全、そして便利にする方法です。
よってあなたの方針は明確でなければいけません。その際、あなたの価値観・ルール・ガイドラインを覚えやすいものにしてください。
そして全てのメンバーはその方針に同意する必要があります。
6.プロモーション
全てのコミュニティは成長する必要があります。
コミュニティは決して静的なものではないので、成長していないのならばそれは死にかけています。
もちろん、急速に成長する必要があるという意味ではありません。
大規模なコミュニティは「小規模なコミュニティになる」ことに留意してください。顧客一人一人の関係性を深めることで、結果的に全体としての満足度を上げるためです。
小規模なコミュニティは大きくする方がいいでしょう。
コンテンツの発行・広告の掲載・プレスキャンペーン・インフルエンサープログラムなど、この世界で組織がコミュニティを宣伝する方法はたくさんあります。なので、コミュニティでは小さくゆっくりと始めて、組織的に成長することをオススメします。
7.パフォーマンス
コミュニティ計画の最後の重要な部分は、成功がどのように見えるか、そしてそれがどのように測定されるかを理解することです。
コミュニティの規模は関係ありません。
あなたがコミュニティを長期にわたって改善するのを助けるために洞察とデータを集めることが重要です。そしてあなたは、自分のコミュニティへの投資を正当化するために、自分のコミュニティがその目的を達成し、価値を創造していることをデータで示す必要があります。それによってより良いコミュニティが形成されていくことでしょう。
コミュニティマーケティング7Pのまとめ
活動的で回復力のあるコミュニティは、7Pのそれぞれを長期にわたって革新することによって構築されます。それらはあらゆるコミュニティでの重要な要素です。
そしてコミュニティマーケティングは、既存の顧客を囲いつつ、その企業や企業のブランド・サービスへの熱量をあげていくような考え方です。
今の時代、消費者は消費者同士で情報共有ができるので時代に即したマーケティング手法のように思えます。
興味を持たれた方は是非試してみてください。