「少しでも優れたユーザー体験を提供したいが、指摘された原因がどこにあるかわからない」という方も少なくないのではないでしょうか?
スマホの普及やIT技術の進歩により、ネット環境は益々快適なものになっている一方で、システムやアプリケーションは複雑化の一途をたどっています。それらの管理をしやすくするために注目されているのが「APMツール」です。
そこで今回は、アプリ運用者、開発者必見のオススメAPMツールをご紹介します。
【目次】
APM(アプリパフォーマンス管理)とは?
APM(Application Performance Management)とは、社内システムやWebサービス、アプリケーションなどの稼働状況を可視化し、管理してくれるシステムのことです。
通常では見ることのできないWebシステムのパフォーマンスをグラフ化することで、アプリ運営の効率化を図ることができます。また、システムに何らかの不具合があった場合にも、その原因を特定し迅速に対応することが可能になります。
APMが注目されている理由
APMが注目されている主な理由は以下の3点です。
- 業務のオンライン化
IT技術の活用により、これまで主流だった対面での会議や書類上での情報の管理からオンライン上で業務を行う企業が増えてきました。その結果、業務の効率化した一方で、クラウド化などの技術の発展により、管理すべき範囲も不透明になり、管理側が対応できなくなってきてしまいました。
- システムの複雑化
近年、IT化の発展により、企業の活用するWebシステムも複雑化してきています。複雑化したシステムは問題も発生しやすくなりますが、システム自体が複雑な分その原因を見つけづらくなります。また、いざシステムを改善する場合も改良箇所がわからなかったりとシステムを利用する側も色々不便な部分が出てきてしまっています。
- デバイスの多様化
パソコンに限られたブラウザへのアクセスからスマホやタブレットなど、アクセスすることのできるデバイスの種類が増えました。そのためネットブラウザ以外にもモバイル端末向けのアプリケーションの監視も必要になり、加えてセキュリティもより安全性の高いものを作らないとユーザー満足度は向上しないという状況が訪れました。
APMツールのメリット
- ユーザーの満足度の向上を図ることができる
アプリのパフォーマンスとユーザーの満足度には相関関係があります。アプリの読み込みが遅かったりパフォーマンスが悪ければユーザーの満足度は低下し、より使い勝手の良い他社のサービスを利用するようになります。APMツールを活用することで、良いパフォーマンスを維持することが可能になります。その上、万が一問題が起きた場合はいち早く知らせてくれるので、ユーザーにとって使い勝手の良いアプリ作りをすることができます。
- 複雑な問題を分析するプロセスを省ける
APMツールは、基本的にはユーザー側の視点からパフォーマンスを監視できるシステムです。そのためシステムに不具合が起きた際にも、迅速にその原因を分析し、対応することができます。そのため、管理者側としても原因の分析のプロセスをなくすことができるので、業務の効率化にも繋がるでしょう。
おすすめAPMツール5選
おすすめのAPMツールを5つご紹介します。
Datadog(データドッグ)
「Datadog」はITシステムの運用監視クラウドサービスです。自身の作業を通して、Webアプリのパフォーマンスの状態をグラフやダッシュボードとして可視化することができます。
<特徴>
- タグ付けによる高度な絞り込み機能
上記の画像のようにすべてのユーザーを一画面に表示することができ、利用率が高いホストほど色が濃くなります。タグ付けによって様々な条件ごとに絞り込むことができるので、様々な角度からデータを解析することが可能です。
- 一元的な画面表示
ログ・トレース・メトリクス・ダッシュボード・アラートなど、APMツールの基本機能を一つの画面で確認することができます。
<料金>
- Free(無料で5台まで)
- Pro(1台15ドル/月で1000台まで)
- Enterprise(1台23ドル/月で1000台以上)
どのプランも14日間フリーで使用することが可能
NewRelic(ニューレリック)
NewRelicは、アメリカのNewRelic社が提供するSaaS型の運用監視クラウドサービスです。
<特徴>
- セットアップが不要
面倒な設定が不要で、監視用のモニターをインストールすればすぐにモニタリングを開始することができます。
- データを自動で集積・可視化
性能分析に必要なデータは、自動で集積・可視化されるので包括的な分析が可能です。
- リアルタイムで監視可能
アプリケーションの環境をリアルタイムで監視できるため、問題が発生した場合にも迅速に対応することが可能です。
<料金>
- Lite(無料)
- ESSENCIALS(12.5ドル/月)
- PRO(25ドル/月)
14日間の無料トライアル機能
Mackerel(マカレル)
Mackerelは、2014年にサービス開始した株式会社はてなが運営するAPMツールです。
<特徴>
- 1ステップで簡単導入
監視対象のサーバにエージェント(アプリのデータを収集し送信するプログラム)をインストールだけでモニタリングが開始できます。
- ロール内の異常検知機能
機械学習によって自動で異常値を検知・アラートしてくれる機能です。これまでは監視のための専門的で高度な知識を必要としていた作業も、AIが管理してくれるので、メンテナンスにかかるコストを大幅削減することができます。検知された異常な箇所は画像のように赤く表示されます。
- 外形監視機能
ユーザー側がアプリの作動状況を監視できるシステムをデフォルトで備えているので、インタラクティブなパフォーマンス管理が可能です。
<料金>
- Freeプラン(無料で5台まで)
- Standardプラン(1台当たり1,833円)
14日間の無料トライアルあり
AppDyanamics(アップダイナミックス)
AppDynamicsは、株式会社samuraizが提供するWebアプリ用のAPMツールです。
<特徴>
- 複数のデータを1ブラウザで管理
サーバー内部の負荷状況や実際の稼働状況を含めた複数のデータを一つのブラウザにまとめて表示することができるため、俯瞰的な監視が可能です。また、上記の画像のように複数のシステムをマップで可視化できるため、他システムとの関連性までも把握することが可能です。
- マップ上から問題を発見
問題が発生したデバイスやシステムは上記画像のマップ上で色が変化するので、簡単に原因を把握することができます。
- サーバー負荷を最小限に抑える
アプリケーション監視のための処理は全て管理サーバ側で行われるので、自社サーバにかかる負荷を削減することができます。
<料金>
金額は要相談
主な価格帯100~500万
30日間の無料トライアル、1年単位で利用料が発生
Google Operations(旧 Stackdriver)
Google Operations(旧称 Stackdriver)は、Google社が提供するアプリケーション/インフラ等のAPMツールです。GCP(Google Cloud Platform)の中の一つの機能です。
<特徴>
- 手軽な設定で選択できる
Googleの提供するサービス全般に共通していますが、シンプルな設定でマニュアルをみなくても簡単に操作開始することができます。
- GCPと連携することによる便利な機能
GCPを使用していれば自動でGoogle Operationsに反映されるため、工数を削減することができます。
- システム全体の1画面管理はできない
Google Operationsはアプリケーション向けの監視サービスなのでDatadogなどのように複数のネット機器を統合して一画面で見ることはできません。
<料金>
課金対象外の機能→デバッグ、プロファイル
課金対象の機能→ロギング、モニタリング、トレース
APMツールのまとめ
今回はAPMツールの基本情報とおすすめのツールをご紹介しました。
5Gの消費者向けサービスやVRコンテンツの普及によって、情報は今後も複雑化するでしょう。APMツールはアプリを運営する企業にとって必需品になるのではないでしょうか?
ツールごとで得意な分野や特徴が異なるため、導入を検討する際は、この記事を参考に選んでみてください。